2014 Fiscal Year Annual Research Report
感受性の〈不〉道徳性と教育―イギリス近代文学におけるジェンダー編成の諸相
Project/Area Number |
25284057
|
Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
土井 良子 白百合女子大学, 文学部, 准教授 (80338566)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川津 雅江 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (30278387)
小川 公代 上智大学, 外国語学部, 准教授 (50407376)
吉野 由利 学習院大学, 文学部, 准教授 (70377050)
吉田 直希 成城大学, 文芸学部, 教授 (90261396)
大石 和欣 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50348380)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 感受性 / 女子教育 / 動物愛護 / 消費文化 / ファッション / 道徳 / イギリス帝国 / 慈善 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、土井(研究代表者)の統括のもとで各研究者が分担研究を進めながら、2回の研究打ち合わせと2回の研究会・講演会を開催した。7月19日(土)に上智大学に慶應義塾大学井上櫻子准教授を招聘してルソーと感受性について公開講演会を主催し、フランスにおける感受性の問題についてイギリスの場合と比較討論した。また10月25日(土)は東京大学にケンブリッジ大学ジャネット・トッド教授とアバディーン大学デレック・ヒューズ名誉教授を招聘し、ジェイン・オースティンの小説とヨーロッパ悲劇における感受性の問題を議論し、翌日は英文学会関東支部にてトッド氏の講演会を開催した。 各分担研究の進行は以下の通りである。土井は7月の研究会でルソーの女子教育論の同時代イギリスにおける受容についての発表し、オースティンなど同時代の女性作家が十代で残した作品を対象に、感受性と反感受性の教育論の影響を調査した。吉野は18世紀末から19世紀初頭にかけて「ケルト辺境」から教育への関心を示した女性作家たちの消費文化やファッションに対する道徳観を探り、主要テクストが示唆するイギリス帝国のジェンダー編成との関連を考察した。小川は同時期の感受性をめぐる科学、宗教論争を追いながら、ゴシック小説とロマン派の詩を分析し、道徳観や倫理と身体表象の関係性について学会発表と論文執筆を行った。大石も同時代の感受性および消費経済の活性化と女性の慈善活動に通底する感受性文化を考察し、学会発表と論文執筆を行った。吉田はエロティカと感受性、それへの反動としての教育論の動向について資料を精査し、ジェンダー論的な観点からの18世紀後半の感受性について研究成果を公表した。川津は動物愛護精神の興隆、宗教・道徳思想と感受性の関係を探るために18世紀末に流行したIt-Narrative形式の児童書における教育的言説や女性作家の教育書を分析し、研究成果を公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の実施計画通り、前年度末までに進めてきた研究経過を踏まえ、更なる資料収集・分析と検証を行い、その成果を様々な形で発表できた。同時に、7月・10月の二度にわたる公開講演・研究会を開催し、外部からの招聘講師との活発な議論によって各自の研究に対し新たな知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
感受性文化について多面的な考察を進めることができているが、今後は分担して研究しているそれぞれのテーマや研究成果を有機的に関連づけ、より大きな時代的な枠組みのなかで感受性の「(不)道徳性」の「不道徳」の側面に照射した研究をしていく必要がある。
|
Causes of Carryover |
本年度は海外からの研究者招聘とそれを契機としたシンポジウムを開催し、大幅な予算使用をする計画だったが、本科研研究グループ全体の都合と研究者との調整がつかず、平成27年度9月に大きなシンポジウム開催をすることになった。そのためにシンポジウム開催および研究者招聘費用を取り置くことになった。 結果的には本年は国内研究者による講演・研究会とジャネット・トッド氏の招聘のみにとどまった。トッド氏の招聘に際した費用についても予定していたよりも大幅に少ない支出で済んだ。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
9月のシンポジウム開催に際し、必要経費や外部研究者招聘等の経費として使用する予定である。
|
Research Products
(17 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 『イギリス文学入門』2014
Author(s)
小川公代、石塚久郎、大久保譲、西能史、松本朗、丸山修、岩田美喜、大石和欣、唐澤一友、川崎明子、小林宜子、近藤康裕、秦邦生、末廣幹、武田将明、富樫剛、由井哲哉
Total Pages
455(大石120-21,124-25,小川128-37,146-47.150-59,372-75)
Publisher
三修社
-
-
-
-