2015 Fiscal Year Annual Research Report
感受性の〈不〉道徳性と教育―イギリス近代文学におけるジェンダー編成の諸相
Project/Area Number |
25284057
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
土井 良子 白百合女子大学, 文学部, 准教授 (80338566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川津 雅江 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (30278387)
大石 和欣 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50348380)
小川 公代 上智大学, 外国語学部, 准教授 (50407376)
吉野 由利 学習院大学, 文学部, 准教授 (70377050)
吉田 直希 成城大学, 文芸学部, 教授 (90261396)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感受性 / 女性 / 教育 / 消費文化 / 植民地 / 道徳 / 菜食主義 / 共感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は三年間の共同研究の総仕上げとして、感受性が18世紀後半から19世紀前半の文学作品の中で、道徳や教育の基盤として機能しながら、消費文化や生理学・医学の展開の中で放蕩やセクシュアリティの問題と連関している状況を論考としてまとめた。更に秋の研究会では原田範行氏を講演者として招聘し、感受性が文学の制度化の問題と関連している点を確認した。年度後半は帝国主義という枠組みのなかでも位置づけを試みた。 個別研究としては、土井は1780-90年代の道徳的感受性論と女性の家庭内役割推進のイデオロギーとの関係を軸に据えて教育書と小説における感受性表象を考察し、特にAustenの初期作品におけるパロディの意義への再評価を行った。川津は動物への感受性を示すCatharine Macaulayの作品を菜食思想と食育の観点から、またElizabeth Hamiltonの作品を菜食主義と帝国主義の観点から考察した。吉野は、Edgeworthの作品で、主人公が文化的・社会的他者への「共感」を学ぶ「共感の教育」のテーマと、テクストがアイルランドやインド、西インド諸島など植民地の人々への「共感」を読者に喚起する語りの戦略との連動を検証した。吉田は1760年代以降の「放蕩」概念の変容を階級、セクシュアリティ、ジェンダーの観点から分析し、SterneのA Sentimental Journeyを中心に、Methodismとの比較を通して、公共圏における熱狂的感受性の政治的問題性を解明した。大石はチャリティがギャンブルあるいは蕩尽と同義的に扱われる事例を文学作品の中に辿り、その背景を18世紀的な消費文化の中に求めて感受性の道徳性と不道徳性の両義性を明らかにした。小川は海外の学術動向を調査しつつ、18世紀女性作家の感受性言説を医学的見地から再考した。感受性は、不道徳性として揶揄されながらも、「身体化された共感力」や「空想力」と結びつく時倫理観の規範として表象されていたことも確認した。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)