2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25284060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
望月 恒子 北海道大学, 文学研究科, 教授 (90261255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MELNIKOVA Irina 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (10288607)
澤田 和彦 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70162542)
諫早 勇一 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (80011378)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロシア文化 / 亡命者 / 越境 |
Outline of Annual Research Achievements |
1917年の十月革命とその後の内戦期にロシアから出国した人々が世界各地で創出した在外ロシア文化の諸相が本研究の対象であるが、2年目の平成26年度には、日本を含むアジア極東地域での亡命者の活動も研究対象として組み入れた。澤田和彦による日本の白系ロシア人研究(文化史、交流史)と、望月恒子によるハルビンの在外ロシア文学研究が行われた。その結果、望月、諫早勇一、イリーナ・メリニコワが研究してきたヨーロッパ地域での亡命者の文化活動との比較分析が可能になった。現在、亡命ロシア文化研究は世界的に盛んになっており、欧米のみならず中国でも研究がはじまり、日本での研究者も増えているが、本研究は、科研参加メンバー以外の研究者を招待して研究報告会を開催する一方、科研参加者が国内外の各種研究会に参加して、この分野の研究の裾野を広げている。それらを通じて、在外ロシア人の文化・芸術活動の軌跡がより広範に明らかになった。さらに在外芸術家にとってロシア性はどんな意味を持ったかという問題や、国民性・民族性と芸術との関係に関する考察へと研究が進展している。平成26年度は、 1)論文発表と共著図書発行によって、研究成果を公表した。文学研究のみならず、民族学、音楽、映画等のジャンルの研究も進められた。 2)ヨーロッパ地域(パリ、ベルリン、プラハ)の亡命文化とナボコフの研究者を招待して、研究会を開催した。 3)ロシア(モスクワ、ペテルブルグ、ウラジオストク)、ポーランド等に海外出張して、現地研究機関で調査を進めるとともに、学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
20世紀前半のヨーロッパとアジアにおけるロシア系ディアスポラの社会的・文化的環境について、ヨーロッパ地域の研究(プラハ、ベルリン、パリを中心とする)と、アジア地域の研究(旧満州、日本を中心とする)が、どちらも進展した。20世紀前半、特に1920-30年代の両世界大戦間期は、ヨーロッパでもアジアでも政治・社旗情勢が極めて複雑であったが、そうした中でロシア系ディアスポラにおいてロシア性、ロシア文化の伝統や特性はどんな意味を持ったのかという最終的な研究目的に関して、対象地域および対象ジャンルの拡張がなされた。論文、共著図書、学会報告によって、亡命ロシア社会の全体像の構成に役立つ調査と考察が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は各人の研究をさらに推進しつつ、それらを総合的なものとするために、研究成果の公表を積極的に行い、本研究のまとめとする。8月に幕張メッセで開催される大規模な国際学会―国際中欧・東欧研究協議会(ICCEES)第9回世界大会に、本科研参加者は報告者および司会者としてラウンドテーブル、パネル等に参加する。11月に埼玉大学で開催される日本ロシア文学会研究発表会で、本研究のテーマでパネルを組み、亡命ロシア文化研究をさらに日本の学界に浸透させる。
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Causes of Carryover |
購入した物品の中で見積額より低かったものがあり、15919円を使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究テーマに関連する書籍を購入する予定である。
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