2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25284083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
浅原 正幸 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, コーパス開発センター, 特任准教授 (80379528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 創 近畿大学, 理工学部, 准教授 (90510561)
狩野 芳伸 国立情報学研究所, 外来研究員 (20506729)
MIYAMOTO EDSON・T 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (60335479)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 言語学 / 認知科学 / コーパス / 読み時間 |
Research Abstract |
平成25年度は、まず実験環境の構築を行った。対象とするテキストコーパスとして「現代日本語書き言葉均衡コーパス」のコアデータ中の書籍サンプルと新聞サンプルを対象とし、自己ペース読文法の実験環境と、視線走査法の実験環境を構築した。20人規模で自己ペース読文法の被験者実験を、8人規模で視線走査法の被験者実験を行い、実験を大規模に行う際に起きる問題点を検証した。結果、視線走査法において、画面遷移時の注視点の制御について問題があることがわかった。また、被験者の募集が低調であったために、効率的に被験者を募集する手法についても検討を行った。 小規模ではあるがデータを収集し、データの構造化を進めた。文字列の線形順序と視線遷移順序の両方を読み時間情報とともに帳票形式で保存する方法を検討した。 検索環境構築においては、予算の制約により、予定していた2つのソフトウェアのうちChaKi.NETに対してのみ読文時間対応を行うこととした。平成25年度は現行の ChaKi.NETの機能により、どのレベルの問い合わせと可視化が可能かについての検証を行った。検証においては、分担者との議論だけでなく、第5回コーパス日本語学ワークショップにおけるポスター発表により広く意見を募った。結果、書記言語における文字列の線形順序と人間の読文過程における単語認識順序が、自己ペース読文法においては一致するが、視線走査法においては読み戻しや読み飛ばしが発生し、2つの順序間の対照比較の類型化が必要なことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験環境の構築および実験結果の構造化についてその確立の時間を要した結果、被験者を集める方法について有効な手段を実行することができず、場当たり的な方法になってしまったため、小規模の被験者実験にとどまった。被験者実験後、大規模に被験者を集めるについて検討したため、翌年度以降については順調に進めることができると考える。 実験環境の構築においても、現状の被験者実験においては、画面推移時に注視点が不定になる問題を抱えており、年度末に修正手法について検討した。 一方、H26年度に実施すべきコーパスの可視化においては、H25年度中に小規模の被験者実験結果を用いた検討を行うことができたため、全体としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者を集める方法について H25年度に十分に検討を行い、H26年度より分担者が比較的近隣の大学・研究機関に集まることが可能になるために、より効率的に被験者実験を進めることが可能になると考える。夏期休暇・冬期休暇などを中心に重点的に被験者実験に時間を割くことにより収集データの拡充を急ぐ。 実験環境の構築についてはH25年度末に修正方針のみを確定し、H26年度初めに修正を行い、夏期休暇・冬期休暇期間中の被験者実験に間に合わせる。 コーパスの可視化については、H25年度に検討した2つの順序間の対照比較の類型化を進め、プロトタイプ実装を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度中に被験者実験を行ったが、思うように被験者集めを行うことができず、少人数の被験者による実験しかできなかったため。 H26年度以降、被験者集めの方法を見直し、大規模の被験者実験を行う。
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