2015 Fiscal Year Annual Research Report
多言語背景の児童を対象とした多層分岐適応型日本語力診断オンラインテストの開発
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25284092
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
酒井 たか子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40215588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 在鎬 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20450695)
加納 千恵子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90204594)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 年少者 / 日本語力測定 / JFL / JSL / SPOT / 漢字 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者、研究分担者のほかに、JSLの現場で日本語を教えている国語教員、海外の日本語補習校の元校長などの研究協力者を加えて研究を進めた。 年少者用SPOTは、難易度の異なる三種類のテストを試作した。SPOT(YA)は海外の中等教育で日本語を初修外国語として学ぶJFLの学習者を対象としたテスト、SPOT(YB)(YC)は海外の日本語学校、補習授業校、国内の日本語支援の必要なJSLを主な対象としたテストである。(YB)は小学校の国語の教科書より問題項目を抽出した易しい版、(YC)は中学校の国語教科書より問題項目を抽出した難しい版とした。漢字テストは、漢字の読み書きのほか、漢字の意味概念を絵で表わした語彙問題、反対語、同郡の意味の語彙問題、文中に一部空欄を設けて適切な語彙を選ぶ問題構成とし、学年配当漢字にしたがって作成した。そのほか、新たに年少者用漢字SPOTの問題試作を行った。試作した問題は、日本の一般の学校で実施し得点の意味を検討するための指標としたほか、インターナショナルスクールや海外の教育機関での試行を行った。 教科別の語彙テスト作成のために、どのような語彙を知っていれば授業において理解できるのかについて基礎研究を昨年に引き続き進めた。 日本語教育学会春季大会(2015年5月)、CASTEL-J(2015年8月)、日本語教育学会秋季大会(2015年10月)、AATJ(2016年3月)他で研究成果の発表を行った。このほか科研費合同発表会「多様な言語文化背景をもつ子どもたちのリテラシーフォーラム3」において「多言語背景の児童を対象とした日本語力診断テストの開発」(2016年2月28日)、「年少者テストの開発ワークショップ」(2016年3月13日)を開催した。 またオンラインでのコンピュータテストのシステム開発として、新たにタブレットで使用できるように開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語力(国語)に関するテストの作成において、SPOTは当初予定していたテストでは天井効果の傾向が見えたため、新たに難易度の高い版を付け加えて問題作成を進めており、当初の予定以上の内容を盛り込んでいる半面、その試行に当たっては研究協力機関の調査協力を得る上で時間がかかっている。 オンラインテストのためのシステムに関しては、利用者の多いタブレットでの使用が可能になるよう開発を進めており、結果の格納部分を除いてはほぼ完成した。以上から順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
・年少者用SPOT:SPOT(YA)、SPOT(YB)、SPOT(YC)の3種類のSPOTを完成させる。年少者用漢字SPOT、初級用2種類と上級用2種類計4種類のテストを試行し、完成させる。年少者用漢字テストの結果の項目分析を利用してテストを確定し、完成させる。 ・オンラインテストの試作完成:児童:生徒の年齢や日本語力に合わせたテスト構成、内容とフィードバックについて検討し完成させる。特に完成年度としては、年少者が使いやすいインターフェース、結果の格納方法についての研究を進め、実用化を目指す。 ・テストの試行と分析:国内の一般的な公立校の結果を指標とするために、大人数に実施可能な学校の協力をを得て実施する。また、日本語支援の必要な各教育機関においても広く調査を行う。 ・研究成果の発表および日本語支援の必要な教育関係者に向けてワークショップを行う。
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Causes of Carryover |
SPOTに関しては、テストの難易度の高い版を追加したが、調査のための研究協力校の調整に時間がかかり、試行調査を次年度に実施することにした。また、多数の受験者が使えるように、タブレットでの利用を可能にしてほしいという強い要望を受けてシステム開発を始めたため、プログラムの開発のうち、インターフェースの改善及び結果の格納部分は平成28年度に引き続き行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タブレットでテストを利用するためのプログラム開発、特に年少者が使いやすいインターフェースの改善及び結果の格納部分の開発を行うための委託費にあてる。また、国内外の日本語支援の必要な教育機関・一般の小学校での試行調査を行うための旅費および謝金、データの処理のための謝金にも残額をあてる予定である。
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Research Products
(10 results)