2014 Fiscal Year Annual Research Report
本州最北部における更新世人類集団の学際的調査・研究
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25284152
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 孝雄 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20269640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 善也 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00135394)
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10374943)
奈良 貴史 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30271894)
渡辺 丈彦 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (90343003)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学際的研究 / 旧石器 / 絶滅動物 / 動物化石 / 人類化石 |
Outline of Annual Research Achievements |
旧石器・動物化石と共伴する更新世人類化石の発見を目指し、昨年度に引き続き夏季(7月27日~8月9日)に青森県尻労安部洞窟の発掘調査を実施した。その結果、後期更新世の層準より保存状態の良好なヒグマ・ヘラジカの化石を発見。洞窟奥部の更新世層準を発掘し得る状況も整うに至り、次年度以降の調査に一層の期待がもてるところとなった。 本科研プロジェクトに先立つ当洞窟の発掘成果を纏めた報告書も上梓した(『青森県下北郡東通村尻労安部洞窟Ⅰ-2001~2012年度発掘調査報告書-』六一書房, 2015)。A4版310頁にのぼる同報告書は、国内初となる旧石器と動物化石の明確な共伴例を詳述した書籍として反響を呼んでいる。 過年度に出土したヒグマ・ヘラジカの歯牙については、マイクロCTで象牙質・セメント質に形成された成長輪の観察にも着手した。同観察が進み、死亡時季・年齢を特定できた暁には当洞窟を利用した旧石器時代人の狩猟活動をより詳細に論ずることが可能となる。 昨年同様、学会等での成果発表も積極的に行った。予算の関係から昨年度は見送らざるを得なかったウェブサイトも開設。尻労安部洞窟の発掘成果も含め、本科研プロジェクトの情報発信に努めた。また、夏季発掘調査中に地元住民を対象とする成果報告会も開催し、アウトリーチ活動にも取り組んだ。さらに本研究プロジェクトの成果を社会へ還元すべく、最終年度に公開シンポジウムを開催する準備も進めた。その結果、幸いにしてむつ市、東通村双方の教育委員会から共催も取り付けることができ、日程を2015年11月7日に確定。会場も確保するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尻労安部洞窟を利用した更新世人類集団の石材獲得活動を解明すべく計画した津軽半島域の岩石標本の採集作業は、天候不良に伴う河川の増水により、実施に危険が伴うことが予想されたため、見送らざるを得なかった。しかしながら、尻労安部洞窟の過年度発掘成果報告書の編集・刊行作業を終え、本科研プロジェクトの成果や関連情報を発信するウェブサイトも開設するに至り、前年度の遅れについては、概ね取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 昨年度に引き続き夏季に尻労安部洞窟の発掘調査を実施する。(2) 今夏も昨夏見送った津軽半島域の岩石標本採集作業についても、本年度予備日程も組んだ上で確実に実施を図る。(3)「古環境」、「狩猟活動と動物資源利用」、「人類集団の来歴」につき、これまでに得られた調査・研究成果を照合し、本州最北部における更新世人類集団について領域横断的かつ総合的な理解を深め、その成果を11月7日に開催するシンポジウムで公開することにも努める。(4) 2013年度から2015年度までの尻労安部洞窟の発掘調査報告書についても、本科研プロジェクトの終了後速やかに刊行できるよう、執筆・編集作業を進める。
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Causes of Carryover |
本研究プロジェクトに関する情報発信を目的に制作したウェブサイトの完成が3月中旬となり、同経費の会計処理が間に合わず、繰越し金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度繰越し金については、速やかに昨年度末に完成したウェブサイトの制作費の支払いに当てる。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Radiocarbon dating of a human remains and dog burials from the Kamikuroiwa Rock Shelter2015
Author(s)
Gakuhari, T., Komiya, H., Sawada, J., Anezaki, T., Sato, T., Kobayashi K., Ito, S., Kobayashi, K., Matsuzaki, H., Yoshida, K. and Yoneda, M.
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Journal Title
Anthropological Science
Volume: Advanced Publication
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] Paleoenvironment of the Fore-Baikal region in the Karginian interstadial: Results of the interdisciplinary studies of the Bol’shoj Naryn site2014
Author(s)
Sato, T., Khenzykhenova, F., Simakova, A., Danukalova G., Morosova, E., Yoshida, K., Kunikita, D., Kato, H., Suzuki, K., Lipnina, E., Medvedev, G. and Martynovich
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Journal Title
Quaternary International
Volume: 333
Pages: 146-155
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 青森県尻労安部洞窟(安部遺跡)2015
Author(s)
平澤悠, 澤浦亮, 千葉毅, 澤田純明, 渡辺丈彦, 鈴木敏彦, 佐藤孝雄, 奈良貴史
Organizer
第28回東北日本の旧石器文化を語る会
Place of Presentation
東北芸術工科大学(山形県山形市)
Year and Date
2015-02-21
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[Presentation] 尻労安部洞窟(安部遺跡)2014
Author(s)
大西凜, 高山理美, 高橋鵬, 平澤 悠, 澤浦亮平, 澤田純明, 渡辺丈彦, 佐藤孝雄, 奈良貴史
Organizer
平成26年度青森県埋蔵文化財発掘調査報告会
Place of Presentation
青森県総合社会教育センター(青森県青森市)
Year and Date
2014-12-13
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[Presentation] Paleogeographic significance of mammal fauna of the Paleolithic Malta site and its vicinity2014
Author(s)
Khenzykhenova, F. Sato, T., Medvedev, G., Lipnina, E., Yoshida, K., Kato, H., Semenei, E., Lokhov, D.
Organizer
The 7th International Symposium of the Asian Paleolithic Association
Place of Presentation
Gongju (Korea)
Year and Date
2014-11-14
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[Presentation] 古代日本列島人の核ゲノム解析(第2報)2014
Author(s)
神澤秀明, Kirill Kryukov, Timothy Jinam, 佐藤孝雄, 奈良貴史, 安達登, 細道一善, 井ノ上逸朗, 斎藤成也, 篠田謙一
Organizer
第68回日本人類学会大会
Place of Presentation
アクトシティ浜松コングレスセンター(静岡県浜松市)
Year and Date
2014-11-01
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[Presentation] 本州最北端における最終氷期の陸産貝類群集組成とその後の変遷2014
Author(s)
黒住耐二, 佐藤孝雄, 奈良貴史, 渡辺丈彦, 澤田純明, 澤浦亮平, 吉永亜紀子, 千葉毅, 金井紋子, 竹内俊吾, 平澤悠
Organizer
平成26年度日本貝類学会大会
Place of Presentation
大阪市立自然史博物館(大阪府大阪市)
Year and Date
2014-04-13
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