2013 Fiscal Year Annual Research Report
地域経済発展における生産ネットワークと地域振興政策の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
25284168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健兒 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50136355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮町 良広 大分大学, 経済学部, 教授 (50219804)
根岸 裕孝 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (60336287)
藤川 昇悟 阪南大学, 経済学部, 准教授 (50411682)
深川 博史 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30199153)
清水 一史 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80271625)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済・交通地理学 / 生産ネットワーク / 地域振興政策 / 九州 / サプライヤー / 半導体産業 / 自動車産業 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
当初予定していた研究計画のうち最も進展したのは、九州域外に本社を置きかつ重要な拠点を九州に置く事業所へのインタビュー調査である。その結果、トヨタ自動車九州(株)が生産する乗用車の部品調達権限は同社にではなく、トヨタ自動車(株)にあるものの、トヨタ本社に対してトヨタ自動車九州(株)は調達先を提案できる立場にあることが明らかとなった。そのためにトヨタ自動車九州(株)は調達室を設置し、広島以西の日本国内だけでなく韓国立地企業も含めて、優良なサプライヤーを見出す努力と九州域内で優良サプライヤーを育てる努力をしている。乗用車組み立て工場と部品サプライヤーとの間の空間的距離は生産コスト等に影響を及ぼすので、相互に近接している方が望ましいからである。 しかし、トヨタ自動車(株)へのサプライヤーで九州に拠点を置いた企業がすべて、そのサプライヤーとしての地位を維持できているわけでは必ずしもない。環境変化への対応策の結果として、半導体製造装置メーカーへのサプライヤーに転換した企業もある。逆に、自動車工業とは無縁だった九州地場の中小企業の中で、自動車メーカーやその一次サプライヤーへの二次的サプライヤーたる地位を確立した企業もある。さらに、東京大都市圏からの誘致企業として宮崎県に立地し、重要な自動車部品メーカーへのサプライヤーとしての地位を、その企業独自の技術革新によって確立した企業があることも明らかとなった。 なお本科研の研究成果として、グローバリゼーションと東アジア経済との関係(清水)、グローバリゼーションに関する経済地理学研究(山本、宮町)、グローバリゼーションの進展下における九州の産業の現状把握(山本、根岸)、九州経済を牽引する自動車産業の立地に関わる政策(根岸)、それとの関連での中国に立地する日系部品メーカーの事業の実態把握(藤川)などの成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的な研究手法の中で最も重要な部分をなす企業インタビューを、予定したとおりに実行でき、かつ有益な情報を得ることができたから。また、研究代表者と分担者が第1年目にして科研テーマに関する論文を公表できているから。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も引き続き自動車産業と半導体産業を中心にして企業インタビューを進める。さらに特徴ある中小企業へのインタビューに力を入れる。また、地域振興政策立案実行主体へのインタビューを進める。 この間に、1980年代前半時点で九州に立地していた全事業所について、その固有名詞と事業分野、立地都市、本社、支所、単独事業所企業の情報を記した事業所名鑑を利用できることが分かった。これを用いて、当時の企業内生産ネットワークの実態を描き出し、かつ現状と照らし合わせることによってこの間の変化を描き出すことが可能であるという見通しを得た。そこで、この作業も進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたインタビュー調査のうち、食品産業関係企業や地域振興政策主体などへの聞き取り調査を日程調整の結果、平成26年度に繰り延べざるを得なかったから。また、夏と春に各1回の研究会合宿をいずれも2泊3日で行う予定だったが、1泊2日で済ませることができたから。 平成26年度におけるインタビュー調査を、平成25年度に計画していた調査で未実施のものも含めて26年度に行う。
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Research Products
(10 results)