2015 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化するアフリカ農村と現金をめぐる人類学的研究
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25284171
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
杉山 祐子 弘前大学, 人文学部, 教授 (30196779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 公美子 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (60333134)
坂井 真紀子 東京外国語大学, その他部局等, 准教授 (70624112)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 現金の社会化 / アフリカ農村 / 日本の地方農村 / 新しい生産資源 / ジェンダー / 現金づくり / 現金づかい |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初計画どおり、アフリカおよび日本での現地調査を継続するとともに、これまでの研究成果をまとめ、試行的分析枠組みの検討をすすめることを主眼とした。 基盤フィールドとなるタンザニアドドマ州農村では、2015年8月-9月に現金かせぎの新手法としての野菜栽培、マイクロファイナンス、および子どもの生存に関連した現金づかいについての調査を実施した。杉山はおもに野菜栽培と井戸の用法をめぐる共同性および植林プロジェクトの継承プロセスについての継続調査を行い、季節湿地の資源性が高まっていることを確認した。2016年1月-3月には分担者の阪本公美子がドドマ、リンディ、ザンジバルにて子どもの生存に関連した現金づかいや、呪医・薬草医の知識にまつわる現金のやりとりについて情報収集した。分担者の坂井真紀子はドドマ及びイティソにおけるマイクロファイナンスの発展や土地利用の変遷などについて聞き取り調査を行った。これまで伝統的に農業用地とすることを避けてきた谷や平原が、農地として開拓されつつある現状を調査した。2016年3月には、換金作物のコーヒーが衰退したのち、冷涼な高原の気候を利用した野菜栽培が盛んになっているカメルーン西部州チャン市および近郊村において、都市部の定期市で野菜の商いをする女性たち(Bayam Salam)の商業活動と生産地である近郊村の関係を知るため、定期市の開催周期と仕入れ状況を調査した。 比較対象となる日本の農村においては、2015年6月~2016年2月にかけて、青森県、岩手県、宮城県において農産物直売所の実態とそこに出荷する農家の諸活動について観察・聞き取り調査を実施したほか、研究協力者の山本志乃による宮城県、島根県等での市と行商に関わる人々の調査・分析が進められた。以上の調査研究の成果は、それぞれが学会、論文、著書等によって公表されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査、分析枠組み検討、学会における成果発表など、当初計画どおり進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査研究によって、タンザニアやカメルーンにおいて現金を介した生計活動が進展した結果、これまで焦点化されていなかった事物が新たな資源として顕在化してきたこと、その利用法をめぐり、在来の慣習を援用した複数の新しい動きが出ていることが明らかになった。日本の農村でも、意図的に「現金かせぎ」を集落の人々(主に女性)が集まる契機とする事例もあり、インタビューや地図/文字資料などを通して個々人の使用戦略を明らかにするとともに、集落全体像に迫ることにより、現金や新しい生産資源が社会化される具体的なプロセスについての知見を深める。
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Causes of Carryover |
旅費精算総額が事前予定よりも数千円分安くなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
報告書印刷費等に組み込み、使用する。
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Research Products
(15 results)
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[Book] 他者2016
Author(s)
杉山祐子(河合香吏編)
Total Pages
454
Publisher
京都大学学術出版会
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