2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25284179
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
関沢 まゆみ 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00311134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 貴久 お茶の水女子大学, その他部局等, 教授 (10327231)
竹内 由紀子 愛国学園短期大学, その他部局等, 講師 (40587987)
小椋 純一 京都精華大学, 人文学部, 教授 (60141503)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高度経済成長 / 生活変化 / 民俗学 / 民俗調査項目 / 民俗誌 / 食生活 / 広島県加計町 / 鳥羽市神島 |
Outline of Annual Research Achievements |
まだ全体的に資料収集の段階ではあるが、これまでの民俗調査の積み重ねの中で比較的詳細な民俗誌が存在する地域を対象とする追跡的な再調査を行ない、数十年幅での生活変化の把握の仕方についていくつかの可能性を示すことができた。 たとえば、中山間地域の事例では、広島県山県郡加計町(現安芸太田市)における『加計町史』の食生活の詳細な記述をもとに、町場の加計地区と山間の温井地区とで再調査を試みた。町史の記述についての、現在70歳代以上の方々への聞き取りでは、温井では山に自生する多くの種類の植物を食用としていたが、ダム建設による集落の移転後はトチの実の灰汁抜きの技術も途絶えたこと、一方、温井の場合、味噌や漬物などはまだ自家製の家もあるが、他の町場の地区ではすでに味噌も漬物も購入するようになっていることなどが明らかになった。これにより、本研究の目的の一つである基準をそろえた調査項目の作成においては、伝承が途絶える背景として、姑から嫁への世代交代やスーパーの開店、そして集落移転の場合にはそもそもその素材が入手できなくなったことなども影響していることが指摘された。 島嶼部の事例では、昭和30年代以降いくつかの民俗誌が作成されている鳥羽市神島で再調査を試みたところ、島の暮らしの変化のとらえ方として、一つには日本列島全体の変化の趨勢(たとえば土葬から火葬への変化など)と、もう一つ神島などそれぞれの地域社会に特徴的な変化(島嶼部でいえば水の供給の変化など)とに分けられることが示されて、その両方の視点と分析方法についての議論の必要性と有効性とが論じられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既刊の民俗誌や、研究員各位が昭和40年代以降、民俗調査を行った地域をそれぞれ選択し、その民俗の変化についてそれぞれの役割分担にしたがった追跡調査が行なわれ、調査資料が蓄積されてきている。本研究では新しい試みとして、研究者間で共有し相互に活用できるような基準をそろえた民俗調査項目の作成に取り組んでいるが、研究期間の2年目としてはおおむね予定通りといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
高度経済成長と生活変化の研究対象としては、ダム建設によって水没し急になくなった農山村(移転)、村落は維持されながらも徐々に変わっていく農山漁村、新しくできた都市近郊団地の生活、など場の違いによる場合と、また一方、食など個別テーマの場合などが考えられることが共通の理解となり、研究員各位がその枠組みのなかで調査研究をすすめている。今後、各位の調査報告の分析とあわせて、基準をそろえた質問項目案の作成に重点を置く。主な調査地としては引き続き、福岡市南区弥永地域の団地、広島県中山間地農村、鳥羽市神島、神奈川県大和市などを中心とするほか、土地利用と植生景観の変遷を明らかにするための土壌分析も継続する。
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Causes of Carryover |
3月の調査予定のうち、実施できなかったものがあったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に昨年度末に予定していた調査を実施する。
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Research Products
(1 results)