2015 Fiscal Year Annual Research Report
比較法から見たミャンマー憲法裁判所―民主化過程における意義と役割―
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25285003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鮎京 正訓 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 名誉教授 (40126826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國分 典子 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40259312)
西澤 希久男 関西大学, 政経学部, 教授 (50390290)
KUONG TEILEE 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 准教授 (80377788)
山田 美和 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター法・制度研究グループ, 研究グループ長 (80450518)
牧野 絵美 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 講師 (00538225)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミャンマー / 憲法裁判所 / 民主化 / 比較法 / 法整備支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、2月にミャンマー憲法裁判所等を訪問し、2015年に新たに下された判決につき、長官を含む裁判官7名と意見交換を行った。2015年2月、連邦議会は、憲法改正に必要な国民投票の手続きを定めた国民投票法を可決した。同法は、暫定的身分証明書であるホワイトカード所持者に対して、憲法改正の国民投票への投票権を付与した。それに対し、ラカイン民族党を中心とする議員グループが、ホワイトカード所持者に対する投票権付与に関して、合憲性の判断を求めたが、憲法裁判所は、憲法第391条にもとづき、ミャンマー「市民(Citizen)」のみに投票権が付与されるべきであり、「市民」ではないホワイトカード所持者に対して投票権を付与する同法は違憲である、との判断を下した。1982年市民法によると、ミャンマー国籍保持者を、市民、準市民、帰化市民の3つに分類し、そのどれにも属さない者に暫定的身分証明書であるホワイトカードが付与された。ホワイトカード保持者の多くは、ミャンマー西部のラカイン州に住むイスラム系少数民族であるロヒンギャであり、これまでも「市民」とみなされず、基本的人権の侵害が問題となってきたが、憲法裁判所は、今回の事例においても少数民族問題を解決する役割を担えていない。 2015年11月に実施された総選挙では、アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が勝利し、半世紀にわたって続いた軍事政権に終止符が打たれた。2008年憲法によればスーチーは大統領資格を有しておらず、2016年4月に発足した新政権は、国家顧問法を施行し、スーチーは、憲法上規定のない「国家顧問」という役職に就いた。国軍は、「国家顧問」の新設を民主主義に反すると非難しているが、現在までのところ、憲法裁判所に対して合憲性の判断を求めてはおらず、憲法裁判所が民主化に果たす役割は限定的である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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