2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25285026
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弥永 真生 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (60191144)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 南アフリカ / デンマーク / ブラジル / 中小企業向けIFRS / レビュー / 任意監査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、3つの調査を行った。 第1に、アジア諸国及び発展途上国を別とすれば、個別財務諸表の作成にあたり、IFRSを適用しない企業に対し、中小企業向けIFRSの適用を要求している国はブラジルと南アフリカであり、国内基準との選択適用を認めている国はスイスである。そこで、ブラジルと南アフリカにおける状況、とりわけ極小企業についての扱いを調査した。この結果、ブラジルにおいては、簡略版中小企業向けIFRSが公表されていることが判明した(もっとも、それらがどの程度エンフォースされているかについては来年度以降の調査の対象である)。他方、南アフリカにおいては、極小会社については、どの財務報告の枠組みに拠るべきかは法定されていない。 第2に、監査に代わる財務諸表の保証として、南アフリカでは独立レビューが導入されており、それについての調査を行った。監査を行える法定監査人よりも広い範囲の会計専門職業人が独立レビュー実施者となることができる。他方で、デンマークにおける拡張されたレビューについての調査も継続した。もっとも、デンマークにおいても、南アフリカにおいても、与信を受ける上での有利さに着目して、任意監査を受けていることが少なくないことが明らかになった。 第3に、財務諸表監査と違法行為についてのEU構成国及び英連邦諸国の状況を調査し、IFACにおける議論をフォローすると同時に、南アフリカにおいては、違法行為の通告義務が監査人のみならず、独立レビュー実施者にも課されていることを把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中小企業の会計についても中小企業の計算の信頼性確保の仕組みについても、順調に調査・研究は進んでいる。しかし、ブラジルにおけるエンフォースメントについては十分な資料を入手しきれていない。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、中小企業の会計については、ブラジル及び南アフリカの状況を継続して調査する予定であり、EU拡大に伴いEU構成国となった新興国の状況も調査する予定である。同国への現地調査を予定しているが、治安上の懸念が払しょくできないときは、現地の会計事務所及び法律事務所の協力を得て、資料収集等を行う予定である。 第2に、中小企業の計算の信頼性確保の仕組みについては、スイスの簡易監査、ドイツのBescheinigung及びフランスにおける中小企業向け監査を中心に調査・研究を行う予定である。また、これまでの研究の結果、日本の会計参与と共通点を有する会計役員制度がいくつかの英連邦諸国において法制化されており、これについても、調査をする必要があると考えている。さらに、ブラジルや南アフリカにおける会計基準のエンフォースメントについても調査を行う。
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Causes of Carryover |
訪問先と申請者との都合を調整できず、予定していた海外調査ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に請求した研究費と併せて使用することにより、平成27年度には海外調査を3回予定している。また、調査対象国の文献の収集を積極的に進めるほか、データベース使用料を支出する予定である。
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