2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25285026
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
弥永 真生 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (60191144)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 会社法 / 企業会計 / 監査 / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
(a)中小企業における会計、(b)商法または会社法の下で中小企業に求められる開示、及び、(c)中小企業の計算書類の信頼性の向上のための社会的仕組みという、3つの重要な個別的問題について、本年度は、EU、南アフリカ、ブラジルおよびスイスにおいて、どのような議論と対応がなされてきたのかを調査・分析した。なお、EU諸国においては、日本に比べてはるかに多くの割合の株式会社・有限会社が法定監査の対象となっていることも明らかになった。 まず、ブラジルにおいては、IFRS及びIFRS for SMEsが法制度に組み込まれているが、それら以外に、国内の中小会社向け基準が存在することが判明し、それがどのようにエンフォースされているのかを明らかにしようとした。また、南アフリカにおいては、中小会社の計算書類の信頼性向上のため、従来より会計役員制度があり、現在ではレビュー制度が会社法に取り込まれていることを明らかにし、それらをめぐる議論や現在の評価を明らかにした。 他方、スイスにおいては、通常の監査のほか、中小会社向けに簡易監査が選択な可能なものとされており、これについての文献を収集したが、分析している途中である。 いずれも、これまで、日本では紹介されたことがなく、かつ、コストとベネフィットとのバランスを図りつつ、中小企業の計算(会計)の質を高めるという観点から、日本法ないし日本の制度に対する示唆に富んでいるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料の収集は着実に進んでいるし、現地への調査もほぼ予定通り行っている。しかし、この研究課題との関連では、調査対象国における動きがかなりあり、調査結果のアップデートが必要となっているため、当初の計画よりも、今後、海外調査の回数を増加させる必要が生じそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究手法を着実に実施し、研究目的を達成することが基本であるが、国際会計基準審議会や国際監査・保証基準審議会のメンバーなどから、助言を得て、調査対象国における新たな動向の調査を強化する。
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Causes of Carryover |
海外調査を予定していたが、勤務先で急な用事が発生し、直前にキャンセルせざるを得なくなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度における、海外調査の予定回数を増加させる予定である。さっそく、すでに、4月上旬に1回追加し、海外調査を行った。
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