2014 Fiscal Year Annual Research Report
複数人による、または、複数人のための財産管理制度のあり方
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25285027
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山田 誠一 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60134433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 弘 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20143349)
八田 卓也 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40272413)
青木 哲 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40313051)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民事法学 / 権利能力なき社団 / 建物区分所有 / 入会 / 代理 / 訴訟担当 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、財産の権利または利益が複数人に帰属している場合を対象として、複数人による、また、複数人のための財産管理制度のあり方について、考察をすることを目的とする。そのために、本研究においては、平成25年4月から同26年9月までを第1期とし、同年10月から同28年3月までを第2期としている。第1期においては、(1)権利能力のない社団、(2)マンション管理組合、(3)入会を研究対象とする財産管理制度として選定し、これらについて、これらを含む他の財産管理制度と比較しながら、実体法および手続法の両面から研究を行なった。第2期においては、研究対象とする財産管理制度に、(4)共同相続財産を加えるとともに、手続法の問題として、(あ)強制管理手続と担保不動産収益執行手続、(い)当事者等のために請求の目的物を所持する者への判決効、(う)独立当事者参加訴訟に研究対象を広げ、手続法の基本問題を基礎にして、財産管理制度のあり方についての研究を行なった。 これらの研究成果として、①共同相続人の1人が他の共同相続人に相続分の全部を譲渡した場合、遺産確認の訴えの当事者適格を失うこと、②担保不動産収益執行においては、強制管理と異なり、抵当権の被担保債権の不履行前の賃料については、抵当権者への配当は行なわれるべきでないこと、③当事者等のために請求の目的物を所持する者への判決効については、既判力と執行力とについてそれぞれ検討を行なうべきこと、④独立当事者参加訴訟における民事訴訟法40条準用の合理性については検討を要することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年4月に本研究を開始してから、同27年3月までの2年間に、研究代表者および研究分担者が各自研究を進め、その間、4回の研究会合を実施し、8件の研究報告を行ない(平成25年度に2回の研究会合、4件の研究報告、同26年度に2回の研究会合、4件の研究報告)、いずれについても、有意義な討議が行なわれた。また、研究成果として、区分所有建物の管理組合、権利能力のない社団に対する強制執行、入会団体を当事者とする訴訟(以上、平成25年度中)、遺産分割と共有物分割の関係、弁論終結後の承継人に対する既判力の拡張、独立当事者参加訴訟における民事訴訟法40条の準用、権利能力のない社団の当事者適格(以上、同26年度中)について、論文を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、同25年度および同26年度から引き続き、実体法分野を山田誠一(研究代表者)が、手続法分野(判決手続、および、執行手続)を山本弘(研究分担者)、八田卓也(同)、青木哲(同)が主として担当し、複数人によるまたは複数人のための意思決定や業務執行がどのように規律されるべきか、また、複数人によるまたは複数人のための判決手続や執行手続がどのように規律されるべきかについて研究を行なう。 また、平成27年度は、本研究の第2期の後半にあたるとともに、本研究の研究期間全体(3年間)の最終年度にあたるため、第2期の研究課題への取組みを継続するとともに、第1期(平成25年4月から同26年9月まで)に進めた研究課題と、第2期の研究課題との有機的な関連などに関心を払いつつ、本研究全体が成果としての研究発表を行なう。 具体的には、研究代表者および研究分担者全員が出席する「研究会合」を行ない、各自の研究成果を口頭で報告し、全員で討議を行ない、研究成果を共有する。研究代表者および研究分担者全員が、それぞれ、第2期の研究成果、または、第2期の研究成果を第1期の研究課題と統合したものとしての研究成果を、論文として発表する。
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Causes of Carryover |
年度内に発注をした図書について、納品が遅れ、代金の支払いに至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度内に発注した図書の代金の支払いにあてる。
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Research Products
(21 results)