2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ保守政治の構造変容:保守主義・キリスト教民主主義・新右翼
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25285038
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
水島 治郎 千葉大学, 法政経学部, 教授 (30309413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 晃 北海学園大学, 付置研究所, 研究員 (30113583)
津田 由美子 関西大学, 法学部, 教授 (30247184)
野田 昌吾 大阪市立大学, 法学研究科, 教授 (50275236)
古賀 光生 二松學舍大學, 国際政治経済学部, 講師 (50645752)
今井 貴子 (小関貴子) 成蹊大学, 法学部, 准教授 (60552859)
作内 由子 獨協大学, 法学部, 講師 (60631413)
伊藤 武 専修大学, 法学部, 教授 (70302784)
中山 洋平 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90242065)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保守政治 / キリスト教民主主義 / 新右翼 / ポピュリズム / 保守主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年目となる平成27年度は、共同研究の成果の社会還元を目指し、保守比較を軸とする研究論文集の刊行準備に全力を傾注し、研究会の開催に加え、出版にかかる打ち合わせを頻繁に行い、細部に至る調整を行った。その結果、平成28年度の早いうちの論文集の刊行を内定することができ、また日本研究者の論文集参加も確定したことで、きわめて有意義に研究プロジェクトを進めることができた。特に今年度重点を置いた研究内容として、1.英国のEU離脱をめぐる国民投票が2016年に控えていることを踏まえた、英国保守党と大陸ヨーロッパのキリスト教民主主義政党のヨーロッパ統合をめぐる対応の比較検討、2.2015年夏を中心にヨーロッパに流入した中東地域の難民をめぐる問題と政治的影響、3.イスラム過激派によるテロと各国主要政党・右翼ポピュリスト政党の対応、というアクチュアルな問題を扱った。いずれの問題もヨーロッパの既成保守と右翼ポピュリスト政党からなる、広義の保守勢力の対応が焦点となっており、混迷する現代ヨーロッパの理解に保守政治に関する洞察が不可欠であることが示された。特にイギリス保守党は今もEU議会では大陸のキリスト教民主主義政党と別個の会派を形成しており、保守主義とキリスト教民主主義が同じ保守勢力とは言え距離感のある存在であること、この亀裂がEUをめぐる対応の相違を暗示していることが明らかとなった。なお科研メンバーはイギリス・フランス・オランダなどに精力的に出張を行い、現地における積極的な資料収集と現地研究者とのインタビューをこなし、変動著しいヨーロッパ政治の現在の状態の観察を行ったが、これも2016年度刊行予定の比較保守論文集に成果が存分に反映される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
精力的に個別研究と研究会、打ち合わせ、出版社との協議を行うことで、科研終了後ではなく、最終年度たる2016年度中の比較保守論文集の刊行がほぼ確定し、成果を積極的に社会還元する見通しがついたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は保守比較論文集の刊行に全力を尽くすとともに、公開研究会の開催などを通じて科研費の成果の社会的な還元を図る。
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Causes of Carryover |
本年度は、次年度刊行予定の論文集の執筆に主としてメンバーが専念したため、海外調査などが予想より少なく、次年度使用額が多くなる結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は本科研の最大の研究成果として、論文集を刊行し、それをもとに研究集会を開催して大きく成果を社会に還元する予定であるため、研究集会開催にかかる費用をはじめとして、比較的多額の使用が見込まれる。
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Research Products
(10 results)