2015 Fiscal Year Annual Research Report
資産保有から得られる効用を考慮した環境質の動学的経済評価
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25285071
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
肥田野 登 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(客員研究員) (90111658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尊秋 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (20293079)
赤間 啓之 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 准教授 (60242301)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マクロ経済動学 / 環境質評価 / ヘドニック分析 / 流動性 / 資産保有 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境質をはじめとする公共財の的確な経済評価は東日本大震災等、自然災害が頻発する我が国において喫緊な課題となっている。その為の最も有効な手段の一つがヘドニック分析である。しかし我が国をはじめ多くの国は成熟社会となり、人々の行動が資産保有を前提としてなされているにも係わらず、多くのヘドニック分析はこの事実を十分考慮してこなかった。本研究は、資産保有を明示的にとりいれた動学理論をもとに環境質評価を行なうというものである。本年度は、まず動学理論に関して2地域動学一般均衡モデルについて、土地資産が貨幣的な役割をする場合と、土地、貨幣がともに存在する場合について考察を行なった。さらに後者については、貨幣保有の流動性選好が非飽和的である状況下の検討を行った。更に計量経済分析では、東京23区における、地震リスク情報のマンションの市場価格に与える影響に関して、因果関係を極めて弱い前提条件で明らかにしうるregression discontinuity design を世界で初めて、2次元空間分析に拡張適用し、その有効性を示した。この論文はRegional Science and Urban Economics誌に掲載された。また土地資産、美術などの資産保有動機に関して、成熟および、成長経済において実態を考察し、さらに資産保有の前提となる効用関数に関して規範意識および、優越意識の果たす役割を分離する方法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のうち、特にヘドニック分析の因果律をより明確にするregression discontinuity designの成果をエコノメトリック関連の国際雑誌に投稿し受理され出版された。また、マクロ経済動学の2地域一般均衡モデルの解に関して一定の可能性が判明した。これらの成果の意義は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は動学理論による帰結をシミュレーションモデルを中心に明らかにし、さらに、資産保有動機等の解明を行なう準備とし研究室の経済実験データを用いて、優越および規範意識の分離が可能かを、causal mediation analysis を適用して検討する。
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Causes of Carryover |
本年度途中において、マクロ経済動学のモデル化の進捗と、資産保有理由の分析から、性急に、実験を行なうよりも、動学経路の考察が必要になった、そのため、一部の繰り越しが発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度において、資産保有動機の性質の差異によって、2地域マクロ経済動学モデルの数値解析を行ない、どのような実験が効果的かを解明する予定である。
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Research Products
(3 results)