2013 Fiscal Year Annual Research Report
貧困削減政策のプロジェクト設計の改善:構造推計とランダム化比較試験を用いて
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25285088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高野 久紀 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40450548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和志 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (90450551)
ションチョイ アブ 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (40617461)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 貧困削減 / マイクロファイナンス / 遠隔教育 |
Research Abstract |
本研究は、以下の3つのテーマから構築されている。 ①構造推定による貧困層向け健康保険加入の動学意思決定分析 ②RCT による農業向け小規模金融の可能性 ③遠隔教育の効果と財政自立性の改善 ①に関しては、予定していたとおり、Biocon Foundation(BF)が各地で展開するBiocon Clinic が保有する地域住民の健康状態に関するデータや2010 年以降導入された患者の電子カルテデータを用いて、データセットの構築を行った。②に関しては、バングラデシュの総選挙が実施され、政情的に不安定になったために、平成26年度に調査実施を延期した。これは研究計画書執筆時に想定されていたことで、今後の研究計画にとって大きな影響はない。また、③に関しては、フィールド実験及び調査が予定通り実施された。また、データ分析も進み、遠隔教育によって大学入学率が上昇していること、および価格は遠隔教育への参加に対して有意な影響を持たないことが示された。価格の影響については、貧しい家計の学生に対象を限定しても、優位な影響は見られなかった。このことは、遠隔教育モデルに受益者負担を導入することが、貧しいが優秀な学生を排除するわけではないことが示され、ソーシャルビジネスとしての実現可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の研究項目 ①構造推定による貧困層向け健康保険加入の動学意思決定分析 ②RCT による農業向け小規模金融の可能性 ③遠隔教育の効果と財政自立性の改善 のうち、①に関しては、当初の予定通り進展している。②については、バングラデシュの政情不安により、当初の予定の想定内ではあるが、調査が平成26年開始と遅れることとなった。また、③に関しては、データ分析も進み、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「①構造推定による貧困層向け健康保険加入の動学意思決定分析」については、今年度中に、データの整備を完了させると共に、動学モデルの構築、推定を始める。動学モデルの構築については、データのカバーする年数が少ないことから、どのような仮定を入れて年数の少なさを補うかを現在検討しており、その後、実際のモデルの構築、推定、論文執筆を進める。 「②RCT による農業向け小規模金融の可能性」については、今年度中にパイロット調査を実施する。その後、ベースライン調査、コミットメント融資のフィールド実験、フォローアップ調査を行い、データ分析と論文執筆を進める。 「③遠隔教育の効果と財政自立性の改善」については、今年度は、ややサンプルサイズを増やして、価格が本当に遠隔教育への参加に影響を与えないのかの検証を行う。また、意志力やセルフコントロール、動機付けなどの介入によって生徒のパフォーマンスがどのように変化するのかの実験も行う。調査に関しては今年度中に終了し、来年度中に論文も仕上げて投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
バングラデシュの総選挙に伴う政情不安になり、調査の開始が平成26年度となり、それに伴い、現地調査の実施も見送った。 平成26年度に延期となったバングラデシュへの出張に使用される。
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Research Products
(1 results)