2013 Fiscal Year Annual Research Report
近世・近代移行期における公共財供給と『地域社会』:比較史の視角から
Project/Area Number |
25285104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷本 雅之 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10197535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 恭 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (20282551)
荒武 賢一朗 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (90581140)
木下 光生 奈良大学, 文学部, 准教授 (10520629)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域社会 / 公共財供給 / 財政史 / 名望家 / 郷紳 / 貧民救済 / 森林管理 / 軍事・財政国家 |
Research Abstract |
本研究の特徴は、近代移行期日本の「地域社会」の自立的展開過程を、「公共財供給」の視角を導入し、経済生活の維持・再生産の問題として位置づける点にある。これは、差し当たりは政治・社会制度への関心に基づいて蓄積されてきた日本史の分野での「地域社会論」の成果を、社会経済史の問題設定と解明のために応用・展開する道を開くものであるとともに、産業・市場の展開に関心が限定される傾向のあった近世経済史の分野に、民間社会と「公共財」との関係性をめぐる、新たな研究領域を加えるプロジェクトとなっている。 平成25年度は、「地域社会」論に関する共通理解と、研究遂行上、焦点とすべき論点の共有化をはかることを目的に、以下の3つの活動を行った。 (1)月例の研究会を10回開き、既存研究のサーベイとデータの共有化をはかった。取り上げた領域は、近世日本の地域社会論、明清中国の財政使と地域社会論、近世プロシャの所領管理と木材給付、近世ヨーロッパの救貧行政、日英中の比較財政史、産業革命と地域社会、などである。 (2)専門家を招聘し、最新の知見を得る機会を5回設けた。旗本の財政運営、近代日本の行政村と部落、明清期の国家財政と地方財政、近代移行期における地域社会管理と熊本藩、近代日本の森林管理、旗本財政と地域社会、がそこでのテーマである。 (3)実証研究のためのデータ・ベースの作成に着手した。藩の財政運営に関わるデータ、幕末農村における救済資金給付に関する個票データ、などが本年度の作業対象である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
月例研究会を毎月一回、ほぼ終日にわたって精力的に行ったことにより、共同研究メンバー間で、知見の共有、隣接領域に対する研究史理解が大きく進んだ。諸分野の専門家による最新の研究成果の報告と、それを巡るインテンシブな討論も、非常に有益であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題となっている、比較史の視点からのアプローチを進展させるため、海外の研究者を交えたワークショップの計画が進んでいる。本年度はその実現に向け、テーマ設定の吟味、招聘研究者の研究成果のサーベイなどを、分担者個々人の実証研究の遂行と並行して推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年度に予定している国際ワークショップ開催の準備のため、海外出張を予定していたが、それが不要となったため。 2014年度末に開催予定の国際ワークショップの招聘者の旅費、滞在費に充てる。
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Research Products
(3 results)