2015 Fiscal Year Annual Research Report
近世・近代移行期における公共財供給と『地域社会』:比較史の視角から
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25285104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷本 雅之 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10197535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 光生 奈良大学, 文学部, 准教授 (10520629)
飯田 恭 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (20282551)
荒武 賢一朗 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (90581140)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域社会 / 公共財供給 / 財政国家 / 地方財政 / 幕藩財政 / 森林経営 / インフラストラクチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年8月に京都で行われた第17回世界経済史会議(WEHC2015)で、下記の構成でセッションを組織し、報告を行った。 ”Public Goods Provision in the Early Modern Economy:Role of the Regional Society in Japan, China and Europe” Introduction、Part I: Public Finance and Regional Society in Early Modern Japan、Part II: Coping with Poverty and Famine、Part III: Building the Infrastructure、Part: IV Managing the Forest、Conclusion 研究代表者および分担者に加え、内外から7名の研究者が参加し、合計11本の報告を行った。セッションでは活発な質疑がなされ、イギリス、アメリカ、中国の研究者から公共財や地域社会といった本研究の中心的な概念に対するコメントや質問、イギリス・フランスの事例に基づく事実の評価に関する論点提起など、今後の研究につながる有益な示唆を得た。本年度後半は、この成果を英文の研究書として公刊するため、月例の研究会で編別構成や各章の内容の相互連関について、種々の検討を行い、またWEHC2015で提起された論点も踏まえ、執筆陣の補充も検討した。アメリカ、ドイツ、フランスの研究者から、それぞれ前向きの回答を得ており、これらの新しい執筆候補者との連絡調整も始まっている。日本の近世地域社会論をベンチマークとして公共財供給の比較史を構想する我々のアプローチは、国際学会でも一定の関心を呼んだといえるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2014年度末の国際ワークショップ開催、2015年度の国際学会でのセッション組織と報告と、当初から予定していた共同研究の国際発信は順調に進行しており、日本の近世地域社会論をベンチマークとして公共財供給の比較史を構想する我々のアプローチは、国際学会でも一定の関心を呼んだと考えている。さらに、英文研究書の刊行計画については、WEHC2015のセッションの参加者であるカリフォルニア大学UCLAのBin Wong教授の協力を得られ、当初の計画よりも、論点・執筆陣を拡充する形での刊行が模索され始めた。その点で、研究計画は当初を上回る形で進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
英文研究書の刊行に向け、作業を本格化させる。各章の内容のブラッシュアップ、綿密な英文校閲の遂行は勿論であるが、論文集に終わらないように、序論及び各パートにshort introductionやsummaryを設定し、そこでの内容を月例研究会で吟味していく。また、補充した新たな執筆陣(独・仏の研究者)との連絡も密に行う。又これとは別立てで、本研究の成果を踏まえた比較史に関する日本語での研究書執筆の構想も議論されはじめており、その方向についても月例研究会で議論していく予定である。
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Causes of Carryover |
英文論文集のための英文校閲料を予算では計上していたが、論文集の計画が拡張し、執筆者の確定が2016年度にずれ込んだため、論文執筆スケジュールを変更し、英文校閲の実施が2016年度中の作業となっったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用されなかった金額は、2016年度に予定している英文の校閲料および翻訳料に充当する予定である。
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Research Products
(16 results)