2014 Fiscal Year Annual Research Report
コワーキングの価値創出メカニズム:場・主体・関係性のダイナミクス
Project/Area Number |
25285110
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平本 健太 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00238388)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 智和 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20452857)
坂川 裕司 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40301965)
宇田 忠司 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80431378)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | コワーキング / 場 / 主体 / 関係性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,4年計画の2年目に当たる年であった.本年度の研究実績として,以下をあげることができる. 1)研究成果の公表:業績リストにも示すとおり,合計で5篇の研究成果を公表した.具体的には,2014年度に実施した質問票調査にもとづいて,国内のコワーキングスペースの実態を記述した.まず,ウェブ調査を実施し,国内で稼働している施設の全数に近い(2014年7月時点)と考えられる365スペースのうち,191スペースから回答を得た(回収率52.3%).ついで,収集したデータを分析し,①施設,②運営組織,③戦略,④活動,⑤利用者,⑥成果,という6つの包括的視点から記述統計を示した.加えて,データ分析にもとづき,①施設,②運営組織,③戦略,④活動,⑤利用者,⑥成果,という6つの視点から相関分析の結果を示した.そのうえで,本調査にもとづくコワーキングスペースの実態に関する知見を提示した. 2)シンポジウムの開催:2014年11月には,北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センターならびに日本生産管理学会北海道東北支部の共催によるシンポジウムを行った.ここでは,ファブ社会,ファブカフェ,ものづくり,シェアなどのキーワードにもとづき,コワーキングスペースも含む,新時代のものづくりの可能性について議論が行われた. 3)北海道コワーキングパーティ2014の開催:研究メンバーが関与するSCS(札幌コワーキングサポーターズ)によって実施された.これは,コワーキングスペース利用者,コワーキングに関心のある人,自治体関係者や創業支援者などを対象にするものである.NPO法人・グリーンバレー理事長の大南信也氏,コワーキングスペース7Fの星野邦俊氏らによるセミナーならびに,道内コワーキングスペース経営者4名による事業アイディアのプレゼンが行われ,コワーキングに対する理解の深化が図られた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の研究計画に掲げられていた,コワーキングスペースを対象とする定量的調査を実施し,分析結果を論文として公表した.また,当初予定していたシンポジウムも開催することができ,コワーキングスペースと Fab Cafe とに共通するさまざまな課題や問題点を整理することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画は,およそ次のとおりである. 各自事例を選定し,詳細な事例研究を開始する(担当:全員).参与観察を本格的に開始する(担当:阿部,宇田).次年度に行うサーベイのための予備調査と質問票の具体的な構造を検討する(担当:平本,阿部).これまでの研究成果を踏まえて,分析枠組の一層の精緻化を図る(担当:全員).第2回質問票調査のための予備調査を完了し,質問票の構造を確定する(担当:平本,阿部).海外の事例研究を行う(担当:全員).ここまでの研究成果を纏めた第2次中間報告書を作成し公表する.
|
Causes of Carryover |
旅費および人件費・謝金が,当初見積もっていた金額よりも少なかったことが主たる理由である.人件費・謝金については,質問票調査の送付先リストの整理およびデータ入力に係る費用を計上していた.今回は種々検討の上Web調査を実施したため,データ入力に要する時間および手間が大幅に削減されたことで,当初の計上額を大きく下回った.旅費については,格安なパックツアーの利用につとめるなどの結果として,当初の計上額を下回ったものと考える.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,複数回の海外調査等を計画している.昨今の円安によって海外調査に係る費用(航空券の費用,宿泊費,現地滞在費など)が割高になっていることもあり,当初の計画よりも高額の費用が見込まれることから,適切な支出が可能であると考える.
|