2013 Fiscal Year Annual Research Report
組織制度変遷と文化志向の相克:生産性、幸福感、精神機能、遺伝子発現への影響の研究
Project/Area Number |
25285113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
阿久津 聡 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 教授 (90313436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 由紀子 京都大学, こころの未来研究センター, 准教授 (60411831)
関山 敦生 大阪市立大学, 医学研究科, 特任准教授 (30403702)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経営学 / 文化心理学 / 精神医学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、職場におけるストレス、精神健康、幸福感を支える「社会・文化的基盤」ならびに「精神医学・遺伝的基盤」の双方の機能を検証することである。その際、特に職場における動機づけ(個人達成志向と関係志向)が幸福感や生産性に与える影響についてのメカニズムを経営学、文化心理学、神経科学、分子医科学(遺伝子発現修飾)の知見から包括的な分析枠組みで解明し、新しい経営学的知見を得て実社会にもフィードバックすることを目的とする。 そして、本研究では上述した目的を達成するために、主観的な感情測定アプローチと生理指標アプローチの2つを並行して実施していくことを計画している。平成25年度は、この2つのアプローチのうち、主観的な感情測定アプローチを主に実施した。方法としては、複数の企業の従業員を対象に、職場での状況記述とその際に生じる感情に関して、状況サンプリング法(Kitayama et al, 1997)を用いて調査を実施した。より具体的に言えば、日系企業と外資系日本法人の従業員からそれぞれ、相互独立的/個人達成志向的と思われる状況(独立条件)もしくは関係志向的/相互協調的と思われる状況(協調条件)を過去の経験から複数想起してもらい、それぞれの状況での感情等について評定してもらった。回答者はいずれの場合も日本人を対象にしているが、働いている職場が日系企業か外資系日本法人かで、想起される状況や感情等評定に体系的な違いがあるかを調査することが目的であった。 結果としては、同じ状況でも、一方のグループにとっては、自己の目標が達成されるよい状況であり、ポジティブな感情が想起され、もう一方のグループにとっては、自分が他者から孤立する悪い状況であり、ネガティブな感情や想起が示された。平成26年度は、その信頼性を検証する為、大規模なウェブサーベイを実施していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は主観的な感情測定アプローチと生理指標アプローチの2つを用いた調査を想定している。そして、後者に関しては倫理審査委員会の承認を経る必要があり、実施までにある程度の時間を必要とすることは想定している。その為、本プロジェクト1年目である平成25年度は、主に主観的な感情測定アプローチにフォーカスした研究を実施し、その間に倫理審査の申請を行うこととした。現時点で予定通り倫理審査の承認も下り、平成26年度は生理指標アプローチの調査も実施していく。 したがって、現在までの達成度に関してはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、主観的感情を測定するだけでなく、文化神経科学及び医学的知見を用いた生理指標アプローチを実施し、相乗的な知見獲得を目指す。本調査にあたり、UCLAの倫理審査委員会において本研究内容は既に承認されている。また、生理指標に関しては、本研究の協力企業である富士通と複数回打ち合わせを重ねており、想定通り進行できる状況にある。平成26年度の夏から秋にかけてデータを集め、同年度中にデータ解析し、その知見を論文にまとめる。 万が一計画通りに進まない場合は、密なミーティング、研究費・人員の柔軟な再配置を行うことによって対応する。また、本研究の計画は複数の中間的成果を有機的に結び付けて先に進めていくものであり、万が一途中で不測の事態が発生したとしても、個別成果の知見は有益であり、状況に応じて柔軟な結び付け方を検討できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に計上した予算のうち、未使用額となったのは生理指標調査に係るデータ収集及び分析に係る費用である(それに係る人件費も含む)。可能であれば平成25年度から調査を開始できるように予算計上していたが、当初の計画通り平成26年度に実施予定となったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は生理指標調査に係る諸経費(輸送費用、データ分析費用、人件費)として使用する。
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Research Products
(9 results)