2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25285116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 功一 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40510409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 清弘 関西大学, 商学部, 助教 (20611073)
松本 陽一 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00510249)
長内 厚 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (70452505)
坪山 雄樹 一橋大学, 商学研究科, 准教授 (50508645)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 戦略硬直化 / 日本企業 / 組織プロセス |
Research Abstract |
本研究課題は日本企業が変化する環境に対してなぜ有効な戦略変更が実施できないのか、その原因を考察することから、経営戦略論の理論的発展を期すものである。 中川及び坪山は、それぞれ戦略論・組織論を理論的基盤とし、起業内部の意思決定プロセスに焦点を当てて戦略硬直化現象を分析した。2013年度はシャープとルネサスエレクトロニクスを分析対象に選び、近年の業績悪化の原因を理論的に読み解く分析作業を実施した。 松本と長内は、既存の経営理論を批判的に考察することから、演繹的に戦略実行不全現象の発生原因を探索した。この考察作業からは、既存研究で指摘されてきた経営課題の克服策や、経営課題の認識手法が必ずしも適切でない可能性が指摘された。そうした分析を踏まえ、より現代的な経営環境の分析と課題克服策の理論構築の必要性が浮かび上がっている。 大木は日本の多国籍企業を分析対象に選び「本国側が海外子会社に強く関与し自律性を与えない」という日本企業の慣行がもたらす影響を考察している。本年度はまず文献レビューから、日本企業の本国偏重の戦略が1970年代から現在まで指摘され続けていることを明らかにした。次に質問票調査の分析から、日本企業では自律性がない海外子会社ほどパフォーマンスが高い、つまり海外子会社に戦略的な自由さを与えないほうが業績がよくなるという興味深い研究結果を得ている。こうした結果がなぜもたらされるのかの分析へと今後は進む必要がある。 全体として2013年度は理論・実証どちらも一定の前進を得たと評価できる。次年度以降はこれら成果の統合作業も念頭に行動していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事例分析および統計的検証による実証作業に今年度は大きな前進がみられた。他方で、理論的考察についてはいっそうの精査が必要である。また、各研究分担者の成果を統合する作業には踏み込んでいない。こうした達成状況を概観すると、領域によってばらつきはあるものの、おおむね順調に進展したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
事例研究については、引き続き収集した公刊資料を整理・分析するとともに、インタビュー調査を進める。今年度はその成果を学会報告や論文として発表していく予定である。 理論的検討については、既存研究のレビューも並行して進め、レビュー論文としてまとめていく予定である。同時に、われわれ独自の論理の詳細を詰めを行っていく。 主として大木が実施している多国籍企業を対象とした分析においては、さらなる詳細な調査から海外子会社の戦略的自律性についてより妥当な見解を得ることを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の年度末に実施予定であった海外調査および学会発表が次年度繰越となり、該当分の経費が次年度使用額となった。 過年度から繰り越しとなっている海外調査および学会発表のための旅費に充てる計画である。海外調査は現在調査を進めている液晶・半導体関連産業が集積している台湾を計画しており、学会発表はAcademy of international business、Association of Japanese business studiesなどを計画している。
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