2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25285116
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 功一 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40510409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 陽一 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00510249)
大木 清弘 東京大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (20611073)
坪山 雄樹 一橋大学, 商学研究科, 准教授 (50508645)
長内 厚 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (70452505)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経営戦略 / 日本企業 / 戦略の硬直化 / 海外子会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは日本企業がなぜ戦略を変更できなくなるのか、という課題を学術的に解き明かすとともに、そこから組織論分野での学術発展を狙うものである。 2014年度の研究内容は大きく4つ挙げられる。第1は日本企業の海外子会社を対象としたアンケート分析であり、戦略を変更できた子会社とそうでない子会社との差を統計的に解析するものである。アンケートは7月から10月にかけて行われ、研究成果は学会報告および論文として投稿・審査中である。 第2は、電機産業を対象とした具体的な企業の事例研究であり、ルネサスエレクトロニクスおよびシャープ株式会社について、過去30年にわたる経営行動に関する文献調査、特許データセットの整備と分析を行った。これら事例研究も既に論文にまとめられ、現在は投稿準備段階である。 第3は、旧国鉄を題材とした歴史分析である。国鉄に関して、組織内部の政策立案・実行の過程を知る上で有用なオーラル・ヒストリーを行なうことができ、大量の内部資料にもアクセスすることができた。これらの調査に基づいて、国鉄において戦略転換を困難にしていた組織プロセスの解明を目指した研究を進め、その途中経過を海外の学会で報告した。2015年度は、この研究の書籍化を目指して分析・執筆を進めていく。 第4は、タイの日系販売子会社(B to B事業)への親会社の関与の仕方に関する質問票調査である。結果は、親会社があまり関与せず、自律性が与えられた方が戦略転換を成し遂げることができ、業績が向上することが明らかになっている。当研究内容については今後、学会報告および論文化を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り本研究は多彩なプロジェクトを並行的に進めているが、そのいずれもが2014年度時点で一定の研究成果を得るに至っている。投稿論文としての採択こそ登場していないものの、いずれの研究も審査中あるいは投稿準備段階・発表準備段階にあり、本プロジェクトはおおむね順調であると結論する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2015年度はこれら個別の研究成果をそれぞれに発表していきながら、同時に統合していく作業を行う。日本企業の海外子会社を対象とした質問票調査、シャープ・ルネサス・国鉄の事例、およびタイ法人を対象とした調査のいずれについても業績を上げていくことを念頭に活動を行っていく。統合作業としては、今年度に2-3回の総括研究会を開催し、各研究をすりあわせて見えてくる日本企業の本質的な問題と、その学術的意味を検討していく。
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Causes of Carryover |
アンケート調査での配布拡大分及び金額及び国際学会1回参加分が、翌年度持ち越しとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由に順じ、今年度に実施するアンケート調査及び国際学会参加で使用する計画である。
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Research Products
(8 results)