2013 Fiscal Year Annual Research Report
傾注獲得戦略に関する理論構築と実証:企業の傾注ベース論の発展を目的として
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25285121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三橋 平 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (90332551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
閔 廷媛 九州大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (30632872)
ALCANTARA L.L. 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (10584021)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経営学 / 組織論 / マクロ組織行動論 / 傾注ベース論 |
Research Abstract |
2013年度は,本課題の基礎固めとデータ収集が主な活動となった。前者については,傾注ベース論の文献を渉猟し,文献整理,レビューを行った。これらのレビューの一時的な結果については,三田商学会論文としてまとめた。この論文の中では,単に,傾注ベース論の世界観や前提,派生する命題と検証されている因果関係について整理をし,さらに,その上で,今後の研究の方向性について議論を行った。後者については,トムソン・ロイター社のデータベースを契約し,東京証券取引所に上場されている非金融企業のデータを入手している。データ収集の作業については現在も進行中である。また,スタンダード&プアー社の商業データベースより,企業間の競争相手に対する傾注に関するデータの入手も行った。このデータについても,現在整理作業中である。なお,本課題と関連したプロジェクトとして行ってきたトロント大学,INSEAD大学院の研究者との共同論文は,2014年にAcademy of Management Journal誌に発表された。この論文も競争関係と傾注をテーマとしており,この研究活動から得られた知見を今後も本課題に活かしていけると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは,文献の渉猟とレビュー,そして,データ収集であった。そのため,分析を行い,意味のある発見を得る,また発見したものに解釈を与えるという作業にはまだ取り掛かっていない。さらに,結果を論文としての形にまとめるためにも膨大が時間が必要となるが,現時点ではそのステージまで研究が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実施計画は以下の通りである。まず第1に,2014年度より始めている証券アナリストに関連するデータを収集することである。トムソンロイター社商用データベースからのデータについては,進捗状況に応じて契約延長する予定である。また,データベース以外のデータの収集も継続する必要がある。具体的には,アナリスト便覧やInstitutional Investor誌より,アナリストのステータスに関するデータを収集する必要がある。第2に,競合・競争相手に関するデータベースの整備を継続する必要がある。これらのデータでは,企業がライバル他社に傾注を与える期間のデータを,より詳細に見ていく必要があることが判明した。幸いアルバイト等を用いることで,作業の効率化が図られると考えているが,この問題に取り組む必要がある。第3に,さらに別のデータベースを構築することも検討している。本年度より研究室メンバーが増えたこともあり,新たなデータベースを構築することは可能であり,また,研究の幅を広げることにつながると考える。第4に,すでに収集が終わったアナリストに関するデータを用い,記述統計や仮説構築のヒントにつながる分析を開始することである。作業が順調に進めば,仮説を設定し,検証まで進めていきたい。まずは,企業の業績予想に注目し,業績予想に対するアナリストの反応度に関する分析を進めていく予定である。第5に,研究成果の一部については学会等においての報告の機会を得,他の研究者との意見交換・情報交換を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰り越しは,前倒しにより発生した。データソースとなる商用データベースの契約が2014年10月であるため,効率的にデータ収集を行うためにも,より多くのアルバイトを予定する必要があった。そのために,前倒しをお願いした。しかし,比較的時間に自由があり,信頼のおけるアルバイトを見つけることは容易ではなく,そのため,繰り越しが生じた。 引き続き,データ収集に対する研究投資を行っていく必要がある。現在,経営者予想値,アナリスト予想値など,予想値に関連するデータの収集が中心となっているが,今後は,買収や公募など,企業とアナリスト所属企業間のデータを収集する必要がある。さらに,ライバル企業に関するデータの収集も必要である。
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