2014 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術政策と産業クラスターの存続に関する国際比較研究:企業家再生産と産官学連携
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25285122
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山田 幸三 上智大学, 経済学部, 教授 (40240014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 隆大 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (10193848)
金井 一頼 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (50142831)
于 琳 岡山商科大学, 経営学部, 准教授 (60554003)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 企業家活動 / ベンチャー企業 / 産業クラスター / 産官学連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、台湾台中市近郊の工作機械関連の産業集積における技術開発型中小企業と産学連携について、台湾東海大学劉仁傑教授グループと共同で9月に第二次の実地調査として革新的な中小企業4社への聞き取り調査をおこなった。加えて、東海大学モノづくりセンターにて、わが国の革新的な中小企業の研究者である大阪経済大学江島由裕教授と岡山大学戸前壽夫准教授が参加し、日本と台湾の研究者による研究会を開催した。さらに、台湾の新竹市のIT産業視察と、先端技術創出の中心的役割を担うIndustrial Technology Research Institute (ITRI)を訪問し、賴英崑博士と意見交換した。この訪問調査によって台湾の先端的な研究開発の現状を確認できた。そして、シンガポール国立大学とシンガポールのサイエンスパークBioPolice と国家研究基金(National Research Foundation)の訪問調査、ならびに産業クラスターによる産業育成を推進する、マレーシアの自動車産業(プルドア)に関するクラスターの調査を行った。プルドアは、経済成長を背景にわが国のダイハツと密接な関係のもと9年連続シェア1位を達成し、85%以上のローカルコンテンツでエンジンやATMの国産化率が極めて高い。マレーシア工科大学クアラルンプールキャンパスのMalaysia-Japan International Institute of Technologyを訪問し、日本とマレーシアの学生が共同で学ぶMOT教育について意見交換も行った。また、中小企業経営革新支援法で認定された革新的中小企業に関するディスカッションペーパー、ケンブリッジ大学の技術シーズをもとに創業したシリアルアントレプレナー関連の論文、ならびに企業家活動とクラスター形成関連の論文を発表した。これらをもとに次年度の実地調査計画を策定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
台湾・台中市周辺の工作機械サプライネットワークにおける革新的な中小企業と産業集積の追加の実態調査、ならびに資料収集と文献調査を実施し、併せて国内外の研究者による研究会を実施できた。また、シンガポールのサイエンスパークBioPolice と国家研究基金(NRF)の訪問調査、ならびにマレーシアの自動車産業に関するクラスター(バリューチェーン)の調査を行うことができた。台湾での産官学連携に関する調査では、台湾の中心的な研究者である東海大学・劉仁傑教授との共同調査と共同研究会を開催して研究協力関係を構築するとともに、台湾の先端技術創出の中心的な役割を果たすIndustrial Technology Research Institute (ITRI)を訪問調査して賴英崑 (Ing-Kuen (Peter) Lai)博士と意見交換するなどの実績を積むことができた点は大きな意義がある。マレーシアの調査では、Malaysia-Japan International Institute of Technologyを訪問して、日本とマレーシアの学生が共同で学ぶMOT教育について実地調査できたことも有意義である。これらの調査研究の成果に関する主要な成果の一部は、上智大学ディスカッションペーパー「純血型中小ファミリー企業の革新的マネジメント:中小企業経営革新支援法認定企業における創業者と後継者のマネジメントの比較分析」、学術論文「企業家のタイプ:Nascent・Novice・Habitual・Serial・Portfolio」、ならびに「企業家活動とクラスター形成:地域の産業集積における企業家の役割」として発表した。これらの成果も最近の企業家研究に一定の貢献ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度と26年度に収集した資料・データ・ヒアリング調査資料等に加え、当初計画・準備した作業計画の内の未実行部分、ならびに補充のヒアリングなど、追加フィールド調査を継続実施する。とりわけ、台湾・台中市近郊の工作機械関連の産業集積と東海大学による産官学連携について、追加の実地調査、および台湾の研究者との研究会開催などによって議論を深めたい。併せて、日中関係の推移を考慮しながら、中国・北京市の中関村クラスターについても調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
台湾の産業集積については、研究調査相手国の都合により、研究プロジェクトメンバーと実地調査対象国の関係する研究者の第2回目の研究会を次年度以降に繰り越したことと、日中関係の諸般の事情により、中国北京市の中関村クラスター調査を延期する方針をとったため、一部の調査費用について次年度繰越を余儀なくされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度以降の実施計画に沿った追加的な実地調査、ならびに研究会参加に関連する旅費、ならびに研究協力者の調査関連費用などとして使用する予定である。
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Research Products
(4 results)