2015 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術政策と産業クラスターの存続に関する国際比較研究:企業家再生産と産官学連携
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25285122
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山田 幸三 上智大学, 経済学部, 教授 (40240014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 隆大 政策研究大学院大学, 副学長, 教授 (10193848)
金井 一頼 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (50142831)
于 琳 岡山商科大学, 経営学部, 准教授 (60554003)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 企業家活動 / ベンチャー企業 / 産業クラスター / 産官学連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、主たる実績として、台湾ねじクラスターについての調査報告をもとに台湾東海大学にて研究報告をおこなった。台湾のねじ産業は台湾全土に1250を超えるネジ工場があり、高雄・台南(44%)、三重・樹林・桃園(31%)、残りは彰化・台中エリアにある。1975年に中鋼公司本社工場が高雄に移転したことがクラスター発展の契機である。ネジの原料であるワイヤの供給が可能となり、高雄港での鋼材の輸入と製品輸出が可能となって北部からネジ関連企業が移転し、関連産業集積が形成された。このクラスターの形成プロセスでは、政府と自治体が発展をサポートしており、創発と計画の混合型のクラスター形成・発展として捉えられるとともに、台湾ネジ工業同業者組合がクラスターの形成と発展においてプラットフォームとして機能した可能性があり、この点はさらに調査を進めることになった。併せて、台湾台中市近郊の工作機関連の産業集積における技術開発型中小企業と産学連携について、前年度までに実施した台湾東海大学劉仁傑教授グループとの共同調査結果をもとに最終的な研究発表とディスカッションペーパー作成のための検討を重ねた。また、わが国の中小企業経営革新支援法で認定された革新的中小企業に関する研究報告をファミリービジネス学会全国大会でおこない、革新的中小企業の研究者である大阪経済大学江島由裕教授と静岡文化芸術大学曽根秀一講師とともに作成した査読付き論文が『ファミリービジネス学会誌』に採択された。さらに、地域オープンイノベーションと企業家研究の可能性に関する招待講演を日本ベンチャー学会の年次大会でおこなった。わが国における産学連携の課題と大学マネジメントのあり方、およびアメリカの研究大学の実情について多くの報告と招待講演を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
台湾ねじ産業に関する調査報告「台湾ネジクラスターの形成と進化」台湾・東海大学での研究会で発表することができた。研究会で意見交換するなどの実績を積むことができた点は大きな意義がある。また、「純血型中小ファミリー企業の革新的マネジメント:創業者と後継者の戦略・トップマネジメント活動の比較分析」を2015年9月に『ファミリービジネス学会誌』第4号で公刊することができた。これらの点は企業家研究に一定の貢献ができたと考えている。ただ、台湾・台中市周辺の工作機械サプライネットワークにおける革新的な中小企業と産業集積の実態調査の結果をもとにした最終的な研究発表とディスカッションペーパー作成は、検討を重ねている。研究会での報告とディスカッションペーパー完成について、速やかに対処したい。
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Strategy for Future Research Activity |
台湾・台中市近郊の工作機械関連の産業集積と東海大学による産官学連携について、台湾の研究者との研究会開催などによって議論を深め、ディスカッションペーパーの作成をおこないたい。併せて、アメリカ西海岸のクラスターについての取り纏めを行う予定である。
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Causes of Carryover |
台湾の工作機械関連の産業集積については、研究調査相手側の大学の都合により、研究プロジェクトメンバーと関係する研究者による現地での研究会開催を次年度に繰り越したことと、研究代表者と分担者が役職(学部長、副学長)などの職務の関係で、一部の調査費用について次年度繰越を余儀なくされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究会参加に関連する旅費、ならびに研究代表者、分担者、協力者の調査関連費用などとして使用する予定である。
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Research Products
(22 results)