2016 Fiscal Year Annual Research Report
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25285125
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
内田 亨 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (50453460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 高 東京経済大学, 経営学部, 教授 (00307373)
寺本 義也 ハリウッド大学院大学, その他の研究科, 教授 (30062178)
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
佐々木 宏 立教大学, 経営学部, 教授 (80268482)
高山 誠 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80361913)
平松 庸一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90432088)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経営学 / 経営管理 / 組織 / ビジネスモデル / 国際経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、養殖事業の中でも「ブリ養殖事業」と持続的に魚食文化を守っていくことに関する課題について着目した。 まず、ブリを世界的戦略商品としての可能性を探るために、FAO (国連食糧農業機関)のデータベースから主要8魚種の国別漁獲シェアを概観し、PPM(Product Portfolio Management)の手法を使い、「漁獲ポートフォリオ」を可視化した。そして、わが国の漁獲ポートフォリオの中でブリ養殖事業が、「金のなる木」であり、安定的な強みがあることが把握できた。一方、わが国には「花形商品」が存在しないことが明らかになった。それに対し、ノルウェーにおけるタイセイヨウサケは「花形商品」であり、世界市場を席巻している。また、わが国のブリと比較すると、10 倍近い生産量であることがわかった。わが国は、現状のブリの国内需要への供給にとどまらず海外需要の創出を考えていく施策がのぞまれる。より具体的には、世界に展開される日本食ブームや健康志向の波に乗って「金のなる木」から「花形商品」への逆移行を実現する必要があると考える。それには、ワールドワイドな展示会における地道な海外開拓が有効かもしれない。実際、展示会における商談の兆候も見られる。以上のことから、ブリをグローバル戦略商品として位置づけ、マーケティング活動を展開していくことが必要であると結論づける。 次に、持続的に魚を食卓に上げるにはどうしたらよいかという問題意識のもと、水産養殖事業をそのひとつの解決策とすべく、養殖事業の現状と課題を明らかにした。 その上で、水産養殖事業のビジネスモデルのプロトタイプを提示した。その課題とは、次の10点である。①養殖場、②加工工場、③飼料、④稚魚、⑤相場、⑥流通、⑦技術、⑧制度、⑨人材、⑩自然環境、である。こうした課題を解決することが、持続的に魚をわれわれの食卓にあげることを実現できるのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、学内の委員会委員長職や学部・学科改組等の学内業務多忙のため思うように研究時間がとれなかった。 海外調査に関しては、まとまった時間がとれないため、中止にした。それに替えて、ノルウェー大使館内のノルウェー水産物審議会へのインタビューを実施した。そこで入手したデータを成果物に反映させたもののノルウェーのサーモン養殖企業への直接のアプローチには至らなかった。やはり、外資系企業へのインタビュー調査は、難しいものがあるようである。 また、水産庁におけるブリの需給検討会を傍聴し、ブリのビジネスモデル構築には、単に養殖技術や人材モデル等企業内の問題や、外部環境だけでなく、行政や業界事情もかなり影響することがわかってきた。そのため、モデルの再構築が必要である。 新たな知見として、生態系維持を目指した自然相手のサステナビリティ収益モデルを試みるため、世界自然保護基金(WWF)へのインタビューを行ったが、インタビューデータの分析および、先行研究の渉猟が十分でないため、論文投稿へは至っていない。 本研究は、国際比較研究のため、日本と海外のビジネスモデルの両方を明らかにしなければならない。そのため、今年度は、比較検討が行えなかった。 以上の進捗状況によって、補助事業期間を1年間延長して頂いたため、最終年度となる平成29年度中には、研究業績を執筆、公開したい。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗のやや遅れている理由から、まずは、日本における現状のブリ養殖事業モデルの再構築を目指す。また、わが国におけるサケ養殖事業のモデルを構築する。いずれも国内消費に限定されるが、ノルウェーモデルとの比較軸からすると、わが国は魚種にかかわらず、市場ターゲットが主に国内においていることである。ただし、サケに関しては、生産拠点を国内および南米チリであることから、ノルウェーモデルにおける生産拠点を国内に置いている点で、新たな知見が期待できると思われる。
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Causes of Carryover |
海外出張予定が当年度中に実現できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年4月にベルギーのブリュッセルにおけるSeafood Expo Globalでの市場動向、日本および世界の企業の調査をする。また、ノルウェーのサケ養殖企業で日本に支店をおいている企業や、サステナビリティを担保している養殖企業へのインタビュー実施のためのアポイント依頼をする。
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Research Products
(6 results)