2013 Fiscal Year Annual Research Report
《ハンセン病問題の社会学》の集大成にむけて――語りの記録化と多事例対比解読法
Project/Area Number |
25285145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福岡 安則 埼玉大学, 教養学部, 名誉教授 (80149244)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハンセン病 / らい予防法 / 隔離政策 / 聞き取り / ライフストーリー |
Research Abstract |
平成25年度中には,5月に「第9回ハンセン病市民学会in熊本」に参加。6月には星塚敬愛園での聞き取り調査(原稿確認を含む)。6月の厚労省前での「ハンセン病追悼式典」のために上京してきた宮古南静園退所者の聞き取り。9月には菊池恵楓園での聞き取り調査(原稿確認を含む)。12月には沖縄愛楽園での聞き取りと退所者・家族の聞き取りを実施した。また,8月末から9月にかけて7泊8日で韓国の「定着村」の聞き取り調査を精力的に実施。さらに,《故郷喪失と他郷暮らし》という点でハンセン病問題とつながる「フクシマ問題」(福島第一原発事故による避難者たち)でも,若干のフィールドワークと聞き取り調査を実施した(8月には飯舘村の避難者たち,3月には葛尾村と富岡町から三春町への避難者たちを対象に)。 このように着実にフィールドワークと聞き取り調査を実施するかたわら,調査研究の成果としては,紀要『日本アジア研究』第11号に聞き取り事例3編を発表したほか,研究協力者の黒坂愛衣が,学会誌『解放社会学研究』第27号に韓国調査のフィールドノートを発表するとともに,韓国における定着村の全国組織である「ハンピッ福祉協会」の機関誌『ハンピッ』(隔月刊)に韓国語による調査報告を3回にわたって連載した。 また,研究代表者の福岡安則と研究協力者の黒坂愛衣が9月に開催された「第29回日本解放社会学会大会」(放送大学千葉学習センター)にて,研究報告をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象者たちとの関係性等々は,きわめて良好であるので,平成26年度以降における調査研究の遂行には,とくに不安材料はない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,当初の計画に沿って,前年度同様,5月には「第10回ハンセン病市民学会in草津」に参加するのを手始めに,6月以降,各地の「国立ハンセン病療養所」を訪ねて,聞き取り調査と原稿確認の作業を進めたい。また,夏には,前年度同様,韓国でのハンセン人たちの「定着村」の調査を実施したい。韓国の「定着村」は全国に91もあるそうで,できるだけ数多くの定着村のフィールドワークと聞き取りによってその多様性をおさえることが,わが国のハンセン病問題の現状を客観的に捉えるときの参考になるはずである。また,ハンセン病問題の捉え方の視点をより深く,より鋭いものとするために,国家政策ゆえに結果的に《故郷喪失と他郷暮らし》を余儀なくされたという点で,ハンセン病問題と共通性をもつ「フクシマ」の避難者たち,具体的には仮設住宅での生活を余儀なくされているひとたちの聞き取り調査も,可能な範囲内で実施していきたい。 あとは,前年度同様に,研究成果を大学の紀要や学会誌,さらには,当事者団体の発行する機関誌などに,随時発表していきたい。また,学会報告も積極的におこなっていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたといっても,その額は26,556円と僅かであり,従来であれば,年度末に不要不急の物品を購入して帳尻を合わせていたものを,そのような無駄を廃し,次年度に有効に使うことにしたものである。 次年度使用額は26,556円と僅かな額であり,全体的な使用計画のなかで,それぞれの費目で適切に使う予定である。
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Research Products
(10 results)