2013 Fiscal Year Research-status Report
訪問介護の満足度の違いを探る因果モデル 満足度に影響する事業所要因の解明
Project/Area Number |
25285168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
須加 美明 目白大学, 人間学部, 教授 (40271457)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会福祉 / 高齢者福祉 / サービス評価 / 訪問介護 / サービス提供責任者 / 因果モデル / 離職意向 / 職務満足感 |
Research Abstract |
本研究は,訪問介護の満足度に影響する事業所要因の解明であるが,利用者との窓口であるサービス提供責任者(以下,サ責)の調整業務が不十分であれば,利用者満足度は低いと思われるので,サ責の調整業務に影響する事業所要因をまず分析することにした.H23年に行った東京都区部の訪問介護事業所のサ責調査データ(n=547)をもとに,事業所の組織運営の違いを,リーダーシップ,組織風土の活発性,サ責への連絡時間の保証の有無の3変数で表し,次のようなモデルを設定した. 事業所管理者のリーダーシップが組織の活発性に影響し,組織の活発性と「連絡時間の保証」が調整業務に影響し,調整業務は,職務満足感を介して離職意向に,またバーンアウトを介して離職意向に影響するという因果モデルである.分析の結果,モデルの適合度は許容範囲であった(RMSEA=.069) 変数間のパス係数をみると,リーダーシップの関係行動から組織の活発性へは.44,組織の活発性から調整業務へは.73であった.連絡時間の保証から調整業務への係数は-.19であり, 組織の活発性と連絡時間の保証の有無により調整業務は大きく影響されていた. 調整業務から職務満足感への係数は.74,職務満足感から離職意向へは-.25であった.次に調整業務からバーンアウトへの係数は-.60, バーンアウトから離職意向へは.72であった. 職務満足感とバーンアウトによって離職意向の分散の74%が説明された.事業所の組織運営の違いは,サ責の調整業務のレベルに影響し,職務満足感とバーンアウトを介して離職意向につながるという本研究の仮説は支持されたと考えてよいと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書において構想した「利用者満足度とサービス提供責任者の調整業務の達成度」との関連づけについては、現在の時点では倫理的に困難な問題があると思われ、研究モデルの再考をしている。先行研究レビューを再度行っており、調査仮説を得る段階まで到達できていない状況にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において訪問介護員とサービス提供責任者を対象にした調査票調査を行う。訪問介護の利用者に対する満足度調査を併行して行うかについては、予算上の制約があることを踏まえると共に、前述のような倫理的な課題があることについて、行政の担当部署や訪問介護事業所などの関係者と協議して、最終的に判断することにする。調査を実施した後、データを解析し、得られた結果は、来年度の学会で報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では,平成25年度に予備調査を行い新たに開発する尺度の試行をする予定であったが、「現在までの達成度」の欄に記載したように、訪問介護の利用者調査とサービス提供責任者調査を関連づけることについては、現在では倫理的な課題があると思われ、基本的な研究仮説について一部修正する必要が生じた。このため予備調査を行わなかったので、その分の支出が次年度にまわることになった。 本年度において、予備調査は規模を縮小して行い、引き続き本調査を実施することにする。訪問介護員とサービス提供責任者を対象に首都圏の訪問介護事業所を対象にした調査票調査を行う予定である。この調査票の設計、印刷、配布、回収、データ入力などの一連の作業に経費を充当する。
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Research Products
(2 results)