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2013 Fiscal Year Annual Research Report

離島におけるアロマザリングの総合的研究:守姉の風習を中心に

Research Project

Project/Area Number 25285186
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

根ケ山 光一  早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00112003)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 外山 紀子  早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80328038)
池邨 清美  東京福祉大学, 心理学部, 教授 (80201911)
宮内 洋  高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 准教授 (30337084)
小島 康生  中京大学, 心理学部, 教授 (40322169)
川田 学  北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80403765)
山口 創  桜美林大学, 心理・教育学系, 教授 (20288054)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords多良間島 / 守姉 / 保育所 / アロマザリング / 母親 / 子育て / 地域 / 時代的変化
Research Abstract

沖縄県宮古郡多良間村での守姉調査が円滑に進むように,分担者・協力者を集めて研究テーマ・内容などについて議論し,とりまとめて現地の各フィールドの責任者に連絡すると共に,協力の交渉を行った。同時に,取り掛かれるものからデータ収集を開始した。
具体的には,1.行動観察,2.守姉体験に関する研究,3.島の守姉とその変遷の背景に関する調査を開始した。
1.行動観察:根ヶ山・川田は1事例の守姉行動のビデオ観察を行った。宮内は,幼稚園児を終日追跡して相互作用の観察を行い,川田・外山は保育所における子どもの食事場面・送迎場面を中心とした観察を行った。
2.守姉体験に関する研究:研究協力者の白石と石島は青年期以降の全島民を対象として戸別訪問をし,守姉をした・された体験の有無とその内容について,インタビュー調査を行った。近藤は,多良間島での養育経験の特徴を明らかにするため,幼少期に守姉がいた50代から80代の成人に対するインタビュー調査を行った。
3.島の守姉とその変遷の背景に関する調査:守姉の衰退の一員として,島の保育所の設立があると推察されるため,川田は,島に保育所ができた当時のエピソードについての保育士への聞き取りを行った。山口・近藤は,対人関係に関する質問紙を作成した。小島は,乳児及び幼児の母親に対し,子どもの対人関係に関するインタビューと日誌調査を行った。石島と白石は,子育てをした経験のある親を対象として,守姉の平均開始年齢に相当する「10歳の女児」というもののイメージについての質問紙を作成し,質問項目の精査を行った。
これらの本年度の取り組みをふまえ,今後も守姉との関係,親子関係,きょうだい関係,仲間関係,保育士との関係など,島の子どもにかかわる人間関係のあり方について検討していく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は,血縁のない少女が子守をする「守姉」というアロマザリングの風習について,行動観察・質問紙・インタビューにより総合的調査を行い,その風習における当事者同士の関係,両家族間の関係,地域のネットワークの関係,および保育園開設の影響,といった諸側面を多面的総合的に検討することであった。そして現在までに,研究者間での研究内容ついての議論・打ち合わせ,多良間島の各フィールドの責任者への連絡・協力の交渉が行われた。同時に,とりかかれるものからデータ収集が行われた。具体的には,以下の通りである。
【行動観察】1事例の守姉行動の観察,島の幼稚園児の追跡観察,保育園児の食事場面・送迎場面を中心とした観察を行った。
【守姉体験に関する研究】青年期以降の島民を対象として,守姉をした・された体験の有無とその内容について,インタビュー調査を行った。現時点で既に150人近くのデータが得られており,現在の10代の世代において,旧来とは形を変えた,名前だけ,あるいは主に子どもの遊び相手としての「守姉」が存在している可能性が示唆されている。同時に,多良間島での養育経験の特徴を明らかにするため,幼少期に守姉がいた50代から80代の成人に対するインタビュー調査が行われた。
【島の守姉とその変遷の背景に関する調査】島に保育所ができた当時のエピソードについての保育士への聞き取りを行った。また,島の人々の対人関係に関する質問紙の作成,インタビュー,日誌調査を行った。子育てをした経験のある親を対象とした,守姉の平均開始年齢に相当する「10歳の女児」というもののイメージについての質問紙作成も行われた。
以上より,当初の計画通り研究が遂行されているだけでなく,遊び相手としての現代的な「守姉」の存在が示唆されるなど,この先の研究の展開につながりうる新たな知見が見出されつつあり,当初の計画以上に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

基本的には,本年度行われたデータ収集を引き続き行うと共に,その分析と成果の報告をしていく予定である。具体的には,以下の通りである。
1.行動観察:守姉行動・準守姉行動(きょうだいによる子守)を引き続き観察・分析する。また幼稚園児の終日追跡観察・保育所における子どもの食事場面・送迎場面を中心とした行動観察も引き続き行っていく。それを通じて,島の子どもにかかわる人間関係のあり方について検討する。
2.守姉体験に関する研究:守姉をされた成人についての成人愛着面接を継続して行い,分析することで,守姉体験を構成する主要なコンポーネントを探る。さらに内的作業モデル尺度,対児感情尺度などによる質問紙調査も行い,内的作業モデル,親密な対人関係の構築,自らの子どもとの距離感などの調査も行っていく。
3.島の守姉とその変遷の背景に関する調査:青年期以降の島民を対象とした,守姉をした・された体験の有無と内容についての聞き取りは,既に150人分近くのデータが収集されているため,今年度は主にデータの分析を行う。また,島の住民のソーシャルネットワークについて調査するため,質問紙調査を行うとともに,0歳の子をもつ母親と3歳の子をもつ母親を対象とした日誌調査と,それを元にした聞き取りも継続して行っていく。さらに,子育てをした経験のある親を対象として,守姉の平均開始年齢に相当する「10歳の女児」というもののイメージについての質問紙調査を行い,多良間島と都市部での比較調査を行う。また,多良間島の子育て文化のなかの保育所の社会歴史的位置について,保育所職員および保育所に設立に携わった方々を対象としたインタビュー,史料・統計調査を引き続き行うと共に,分析する。これらの研究の成果を,国内・海外の学会において発表するとともに,論文を学会誌に投稿する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

小学校校長が転出するなどの事情で,学校関係の調査の進行が遅れたことと,予定よりも守姉観察の協力事例が少なかったことによる。
上記の事情が改善され,旅費や現地協力者への謝金・賃金などとして使用予定。

  • Research Products

    (9 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 5 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 子どもの身体・発達とアロマザリング2014

    • Author(s)
      根ケ山光一
    • Journal Title

      子ども学

      Volume: 2 Pages: 118-135

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 幼児教育環境と幼児の共発達に関する生態・文化的アプローチ(1):研究の視点とフィールドの特性2014

    • Author(s)
      川田学・井内聖
    • Journal Title

      子ども発達臨床研究

      Volume: 5 Pages: 35-57

  • [Journal Article] 子別れ・アロマザリングから子育てを考える2013

    • Author(s)
      根ケ山光一
    • Journal Title

      乳幼児医学・心理学研究

      Volume: 22 Pages: 1-8

  • [Journal Article] フィールドワークにおける葛藤2013

    • Author(s)
      宮内洋
    • Journal Title

      社会と調査

      Volume: 11 Pages: 48-55

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 親準備性の育成をめざした訪問型子育てサポーター事業の実践2013

    • Author(s)
      小島康生・水野里恵・塚田みちる
    • Journal Title

      臨床発達心理実践研究

      Volume: 8 Pages: 73-79

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Is the secure base phenomenon evident here, there, and anywhere? A cross-cultural study of child behavior and experts' definitions.2013

    • Author(s)
      G.Posada, T.Lu, J. Trumbell, G. Kaloustian, M. Trudel, S. J. Plata, P. P. Pena, J. Perez, S. Yereno, R. Dugravier, G. Coppola, A. Constantini, R. Cassibba, K. Kondo-Ikemura, M. Noblega, I. M. Haya, C. Pedraglio, M. Verissimo, A. J. Santos, L. Monteiro, and K. Lay
    • Journal Title

      Child Development

      Volume: 84 Pages: 1896-1905

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 親になること再考-子育ての生態学序説-2013

    • Author(s)
      小島康生
    • Journal Title

      中京大学心理学研究科

      Volume: 13 Pages: 1-10

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 沖縄・多良間村における守姉というアロマザリングの予備的調査 ─離島に残る子育ての風習を探る─

    • Author(s)
      白石優子・石島このみ・根ヶ山光一
    • Organizer
      教育心理学会第55回総会
    • Place of Presentation
      法政大学(東京)
  • [Presentation] 子どもたちの”いま”をとらえる―オルタナティブな子ども観の創造―

    • Author(s)
      宮内洋
    • Organizer
      日本質的心理学会第10回大会
    • Place of Presentation
      立命館大学(京都)

URL: 

Published: 2015-05-28  

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