2014 Fiscal Year Annual Research Report
知覚表象形成および運動制御における知覚情報処理の適応的方略の解明
Project/Area Number |
25285197
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
一川 誠 千葉大学, 文学部, 教授 (10294654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛谷 智一 千葉大学, 文学部, 准教授 (20400806)
松香 敏彦 千葉大学, 文学部, 准教授 (30466693)
木村 英司 千葉大学, 文学部, 教授 (80214865)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 知覚 / 認知 / 運動制御 / 錯覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
境界拡張という知覚的錯誤現象を用い,見えの成立に関わる視覚表象と,指差し動作制御の基礎にある視覚表象の特性について検討した.見えの成立のための空間表象形成過程と,動作制御のための空間表象形成それぞれにおいて境界拡張が認められたものの,拡張の程度に違いがあることが見いだされた. 運動錯視を用い,錯視の基礎となる運動信号が,他の図形要素の表象形成にどう用いられるのか調べた.錯視的運動表象を形成する要素とその他の要素の群化が運動錯視成立に大きな影響を及ぼしていることを見出した. 知覚表象形成における視覚的空間の構造化に関する研究として,色彩効果と呼ばれる色拡散現象の検討し,同化型と非同化型という異なるタイプの色拡散が生じる輝度条件を明らかにした. 問題解決における外的資源の利用効果を行動実験を用いて検討した.外的資源の有無による問題解決の正答率への影響はみられなかったが,課題遂行に質的な違いが見られた.また,外的資源の有無は収束的な思考を必要とする課題より発散的な思考を必要とする課題においてより顕著に現れることが示唆された. 人の空間認識特性を調べるために,地理感覚の自己認識と空間手がかりの利用に関する質問紙調査をおこなった.地理感覚の優劣の自己評価によって,注意が向けられる空間手がかりが異なることが明らかになった. 種間比較研究として,ハトにおける知覚的群化や高速視覚刺激呈示下での弁別,空間探索などの認知過程における空間特性を検討した.知覚的群化に関しては,要素図形の向きが揃った条件で,その方向への群化が起こることが示唆された.また,高速で視覚刺激が切り替わる条件下で弁別を訓練すると,手がかり刺激への不要な反応が自発するサイントラッキング様の反応が見られた.空間探索課題では,ランドマークだけでなく,画面全体の方向を示す情報も利用する適応的な戦略が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公募の過程が長引いたため,ポスドクの雇用の開始が予定より1ヶ月遅れた.しかしながら,その後,ポスドクによる研究の立ち上げも順調に進み,概ね予定通りの成果を挙げつつある. 境界拡張の現象を用いて,2つの過程の基礎にある視覚表象の空間的特性を整理し,それらの間の共通点と相違点があることを見出すことができた. 対象の運動についての表象形成過程についても,予想外に研究が進んだ.錯視的運動表象を形成する要素と(錯視成立には関係ない)錯視図形以外の要素の群化が運動錯視の成立に大きな影響を及ぼしていることを見出すことができた. 色彩効果と呼ばれる色拡散現について,同化型と非同化型という異なるタイプを同定し,それぞれが生じる輝度条件を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究で,見えの成立と運動制御それぞれにおける視覚表象の空間的特性についての理解が深められた.引き続き,見えの成立と運動制御それぞれにおける視覚表象の空間的特性に関する解明を進める.それとともに,見えの成立と運動制御それぞれにおける視覚表象の時間的特性についても検討する予定である. 運動表象形成に関しては,その生理的基礎を検討する予定である.また,他のタイプの運動錯視を用い,同様の運動表象形成様式が用いられるのか,別の様式に従った処理がなされるのか検討する予定である. 色彩表象に関しては,これまでの研究を発展させる方向で,明度を含め,拡散現象の基礎にあるメカニズムの特定を試みる計画である. 問題解決に関しては,予測と意志決定過程の関係を含め,これまでの研究を発展させる形で,他の課題における特性の解明を試みる予定である. 種間比較に関しては,ハトと人間との間の比較に関するこれまでの研究を発展させ,特に空間認知に関する諸良識について検討を行う計画である.
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Causes of Carryover |
公募の過程で予定よりも長い時間を要したため,ポスドクの雇用開始が予定より1ヶ月遅れた.そのため,給与や実験装置の購入,学会発表,論文執筆,論文発表などにおいて,若干の遅れが生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り,ポスドクによる研究に基づく学会発表,論文執筆,オープンジャーナルへの投稿を行う計画である.そのための旅費,英文校閲料,論文掲載費,ポスドクの給与として使用する予定である.
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Research Products
(37 results)
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[Presentation] 見ることの不思議2015
Author(s)
一川誠
Organizer
第42回建築物環境衛生管理全国大会
Place of Presentation
日本教育会館一ツ橋ホール(東京都千代田区)
Year and Date
2015-01-23
Invited
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