2013 Fiscal Year Annual Research Report
心の制御に関する統合的理解:認知心理学・認知神経科学・発達科学からの多面的接近
Project/Area Number |
25285200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川口 潤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70152931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70253242)
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (90317272)
渡辺 はま 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00512120)
北神 慎司 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00359879)
鈴木 敦命 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80547498)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 記憶 / 抑制 / ワーキングメモリ / 乳児 / 社会的認知 / コントロール |
Research Abstract |
記憶の抑制制御について,英国のMichael Anderson氏と共同研究の打ち合わせ実験実施の準備を行った。具体的には,Think/No Think課題を用いて,自伝的記憶の意図的抑制が可能かどうか,またその神経基盤を明らかにしようとする研究である。実験はCognition and Brain Science Unitで次年度に実施予定である。ワーキングメモリとの関わりについては,展望記憶課題において見られる検索誘導性忘却の生起要因の検討を行うとともに,ワーキングメモリ課題として知られるn-back課題の課題特性について理論的検討を行った。記憶制御に関わる脳内メカニズム,身体との関連性については,展望記憶の想起における自律神経活動および脳活動を脳波計によって記録した。その結果,身体の活動,およびそれを反映する脳の活動が,意識的な想起を促す要因として機能している可能性を示唆する結果を得た。発達的側面については,乳児の聴覚運動連関に関する知識を検討するために、聴覚情報と運動が意味的・文脈的に一致する場合と不一致の場合における乳児の視線を眼球運動計測装置で計測した。その結果,視聴覚刺激に変化が生じた場合に、7ヵ月齢児が視覚的な探索の範囲を広げたことを示唆する結果を得た。社会的情報の制御については,顔写真の人物に関する評判を学習した後,その評判を無視して信頼性を直感的に再評価するという社会的認知のコントロールの神経基盤を解明するために,fMRI実験をおこなった。その結果,評判を無視しながらの信頼性判断は,前頭極による学習した情報の意図的抑制,側頭頭頂接合部による顔写真の人物 の心の推論(メンタライジング),後頭皮質による顔構造の再符号化などで実現される複合的な過程であることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きく,記憶の抑制,ワーキングメモリと制御,制御と脳内基盤・身体との関連,発達,社会的情報の制御といった研究テーマで進めているが,実験の準備,実施等を含めおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
海外の研究者との共同研究もあるため,その円滑な実施のためにSkypeを用いた打ち合わせや直接の打ち合わせの機会を設けたい。また,昨年度は全員が集まる打ち合わせ会議を9月に実施したが,次年度はもう少し打ち合わせ回数を増やして,全体の進捗度の確認を行いたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
記憶の抑制制御については,本年度は主に英国ケンブリッジにあるCognition and Brain Science UnitのMichael Andersonとの共同研究打ち合わせを主として行った。そのため実験機材の購入など費用支出が少なく次年度使用額となった。 次年度実施予定の実験機材等の購入費用として使用を予定している。
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