2013 Fiscal Year Research-status Report
変動する環境光下における視知覚への加齢の影響の解明
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25285205
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Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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| Research Institution | Japan Women's University |
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Principal Investigator |
竹内 龍人 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (50396165)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 視知覚 / 運動視 / 薄明視 / 加齢 / 座標系 |
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| Research Abstract |
本年度は、環境光が視知覚にもたらす質的変化の定量化を目指した。そこで、時間的に先行する運動刺激が後続するフリッカーテスト刺激における見かけの運動方向を一意に決める「視覚運動プライミング」という現象（Pantle et al, 2000, Vision Research）を利用し、異なる環境光下における運動情報統合の特性を推定した。
視覚運動プライミングでは、フリッカーテスト刺激が先行刺激とは逆方向に動いて見える場合（負のプライミング）は一次運動機構が関与し、同方向の場合（正のプライミング）はより高次のプロセスである特徴追跡機構が関与する（Takeuchi et al, 2011, Vision Research）。視覚運動プライミング現象におけるこの性質を利用し、複数の運動検出機構と処理される視覚座標系（参照枠）との関係を調べた。
その結果、明所視下においては、網膜座標（先行刺激とテスト刺激の網膜位置が同一）では負のプライミングのみが観察される一方で、環境座標（先行刺激とテスト刺激の環境位置が同一）では正のプライミングのみが観察されることを見出した。この結果は、視覚運動プライミングでは、一次運動機構は網膜座標系でのみ機能し、特徴追跡機構は環境座標系でのみ機能することを意味する。従来は単独のパラダイムから座標系を切り分けることができなかったが（Turi & Burr, 2011, Proceedings of the Royal Society B）、本研究における発見から、視覚運動座標系の比較を定量的に行う事ができるようになった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度得られた前述の結果は、国内学会や大学紀要で発表すると共に、査読付原著論文として国際学術誌（Journal of Vision）に受理・掲載された。
この知見は、加齢に基づく視機能の低下における環境光の要因を解明するという、最終目的へ到達するための実験計画の柱となる。以上の点から、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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| Strategy for Future Research Activity |
先行研究では、薄明視では視覚運動情報の統合が不完全が故に、知覚的な感度が低下すると報告されている（Billino et al, 2008, Journal of Vision）。その理由として私たちは以前、錐体と桿体の時間応答特性の違いに起因するという実験的な証拠を提出したが（Yoshimoto et al, 2013, Journal of Vision）、他の理由としては、今年度の研究で見出した視覚運動座標系（参照枠）の問題があると考えられる。
一方で、明所視下では加齢により視覚運動情報の統合が弱まるという報告がある（Betts, et al, 2005, Neuron）。そこで本研究では、
・加齢の影響により高次レベルにおける座標系の構築が不完全になる
・加齢による視覚運動統合能力の弱まりがその構築を妨げる
という仮説を次年度以降で検証していく。
具体的な実験としては、運動視に関する時間・空間の両側面を検討するために、運動刺激の時間統合に依存する視覚運動プライミングに加えて、運動情報の空間的統合を検討するための運動刺激（Betts, et al）を利用し、網膜・環境座標系それぞれにおいて、環境光の効果を推定する。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は国際会議へ出席しなかったため。
本年度得られた結果を、来年度の国際会議で発表するために使用する。
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Research Products
(4 results)
