2013 Fiscal Year Annual Research Report
中等段階の職業・専門教育と高等段階の専門教育の連携に関する国際比較研究
Project/Area Number |
25285228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
横尾 恒隆 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (30220544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 美江 関西女子短期大学, 保育科, 准教授 (20515895)
上里 正男 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80193788)
吉留 久晴 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 准教授 (20387450)
佐藤 史人 和歌山大学, 教育学部, 教授 (80324375)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中等段階 / 中等後・高等段階 / 職業教育 / 専門教育 / 国際比較研究 |
Research Abstract |
まず海外調査で研究課題について基礎的なデータを収集した。横尾恒隆は、2013年1月米国シカゴで開催されたミシシッピヴァリ会議に参加し、同国の中等段階と中等後・高等段階の職業教育の接続に関する動向に関する情報を収集した。また西美江は、2014年3月にアメリカ・マサチューセッツ州ボストンにて、シンクタンクJobs for the Futureの副所長Nancy Hoffman博士にインタビューを実施し、ハーバード大学教育学大学院と連携して行っているPathways to Prosperity Projectに関する情報を収集した。一方吉留久晴は、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州の職業教育系学校で、職業教育と高等教育の接続構造に関する調査を行い、職業教育から高等教育に至るルートが複雑化・多様化しているという知見を得た。 またフランスについては、上里正男が、既にフランスで収集した資料を分析し、同国においてリセ(高等学校)のグランゼコール準備級において、光学系高等教育機関への進学準備としての性格を持つ工学教育のプログラムが発達していることを明らかにした。 一方日本の状況に関する調査は、佐藤史人が、愛知、岐阜、山口の各県立図書館を訪問し、それぞれの県の職業教育行政や県立高校の職業教育に関する資料収集を行った。 また2013年10月に名古屋で、2014年3月に大阪で研究会を開催し、研究の成果を交流するとともに、今度の研究計画について協議した。 こうした活動の成果として、横尾恒隆『アメリカにおける公教育としての職業教育の成立』(学文社、2013年)が出版されたほか、堀内達夫・佐々木英一ほか編著『日本と世界の職業教育』に横尾恒隆、佐藤史人、西美江が論文を執筆するなど、今年度は大きな成果を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、アメリカ、ドイツでの現地調査を行い、大きな成果を上げることができた。まずドイツに関しては、職業教育においてデュアルシステムが中心的な役割を果たしてきたとされてきたが、最近ではさまざまな種類の職業技術学校が発達しつつあることが明らかになった。 またアメリカ調査では、ハーバード大学教育学大学院と連携して行っているPathways to Prosperity Projectに関する情報を収集することができたほか、同プロジェクトの提携プログラムを実施しているBunker Hill Community Collegeでは、医療プログラムの実施状況についての情報も収集した。その結果、後者について、アーリー・カレッジ・ハイスクールの知見に基づいて9-14学年のキャリア・パスウェイの開発を主導しており、近年、各州が導入を進めていることがわかった。 さらにケンブリッジにある総合制ハイスクール、ケンブリッジ・リンジ・アンド・ラテンでは、市の職業プログラムの責任者Michael Ananis博士に面会した。同氏よりマサチューセッツ州の職業カリキュラムの開発に関する資料を入手したところ、同州の職業教育におけるアカウンタビリティについて知見を得ることができた。 またフランスに関する資料分析の結果、同国でも中等段階と高等教育段階の専門教育の接続を図るプログラムがかなり実施されていることが明らかになった。 こうしてドイツ、アメリカ、フランスで、学校教育としての職業教育、専門教育において、中等段階と中等後・高等教育段階の職業教育・専門教育の接続を図るプログラムに関して、新しい動きが出ていることを明らかにすることができた。 この成果は、日本の職業教育・専門教育に関する研究に多大な貢献をなすことができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アメリカ、ドイツ、フランスで収集した資料を分析し、中等段階と中等後・高等教育段階の職業教育・専門教育の接続に関するプログラムの策定や実施などに関する各国の政策の動向や特徴を明らかにする。 それと同時にこれらの国での現地調査も再び行うこととする。その際には、焦点を、全体的な政策動向から、プログラムの実際に当てる形で、海外調査計画を立案し、実際に調査を行う。その際には、各学校の教員や生徒への聞き取り調査も視野に入れることとする。 また研究成果を、日本国内の学会で発表すると同時に、可能ならば海外の学会でも発表し、関連分野の研究者の助言を仰ぐ。さらにそれに基づいて、研究成果を論文や書籍の形で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アメリカ教育学会編『教育学研究事典』(Encyclopedia of Educational Research、約10万円)を研究のために購入したかったが、予算不足のため、購入できなかった。次年度の予算と合わせて購入したい。 上記の『教育学研究事典』の購入に必要な予算の一部として使用する予定である。
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