2014 Fiscal Year Annual Research Report
途上国の前期中等教育における学校改善実践に関する国際比較研究
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25285232
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 和浩 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 教授 (70432672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤村 信英 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (30294599)
小澤 大成 鳴門教育大学, 学校教育研究科, 教授 (60253241)
日下部 達哉 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 准教授 (70534072)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校改善実践 / アジア・アフリカの教育開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、途上国の前期中等教育における学校改善実践に関する国際比較研究であり、研究目的を以下の2点として研究を推進してきた。①近年、初等・基礎教育の量的拡大を遂げたアジア・アフリカ諸国では、前期中等教育就学率が急激に伸びた国々がある一方で、期待するように伸びていない国々も多い。そこで各国における前期中等学校が、施設拡充、授業改善、教育内容改善、就学促進などについていかに学校改善実践を行っているのか、都市と農村に分けて現地調査を実施及び分析し、改善促進要因を明らかにする。 ②収集された各国の実践を国際比較分析し、途上国の学校改善実践を類型化する。さらに学校改善後の自立発展性など「実践に対する教育開発」に注目、国際教育協力に対する示唆を導出する。 平成26年度は、計画の2年度目にあたり、ベトナム、タイ、ケニア、ウガンダ、マラウィに研究分担者、連携研究者、研究協力者を派遣、各国における地域の学校改善実践の研究を推進してきた。また、広島において、教育開発の有識者に知見を求めるべく、東京大学、名古屋大学、国際基督教大学、JICAなどの協力を得て、教育開発情報収集の会合を開催した。 今年度までの研究業績は、次年度に教育開発分野において唯一の査読誌である『国際教育協力論集』18号1巻の特集「途上国における学校改善実践」に結実することとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、二年度目において既に各国地域の学校改善実践事例を収集するため、ベトナム、タイ、ケニア、ウガンダ、マラウィ、エチオピアに研究者を派遣して、情報集積を進めてきた。今年度までの研究業績は、教育開発分野において唯一の査読誌である『国際教育協力論集』18号1巻の特集「途上国における学校改善実践」に結実することとなっており、研究期間の半分を過ぎた時点で、各国の事例研究を終え、残すは比較分析のみとなっている。これは、当初の想定を超えた進捗であり、当初の計画以上に進展しているといえる。 研究内容としては、学校改善のための実践が、学校単位のみならず、地域単位でも展開されているが、本研究が明らかにしたところでは、教育政策と学校現場の呼応関係が、アフリカでは希薄で、アジア、特にベトナムでは濃厚であることが明らかとなっている。ただし、アジアではベトナムとタイの現地調査のみ行っているので、カンボジア、インドネシア、インド、バングラデシュといった国々にも研究者を派遣し、フィールドワークを実施する予定である。こうした政策と現場の差をいかに縮められうるのか、について探求することが今後、重要な研究テーマとなってくるであろう。また、本研究が追求している学校改善実践研究は、途上国の研究者や行政官らから注目されており、彼らを巻き込む形で、教育開発モデル構築の礎を築きつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究はカンボジア、インドネシア、インド、バングラデシュ、マラウィ、教育開発関連の国際機関に研究者を派遣し、学校改善実践を学校レベル、地域レベル、政策レベルで観察することになる。それらの調査結果としてのモノグラフは、各研究者の所属する学協会及び研究会において発表されるとともに、冬期に行う予定である科研研究会で、情報共有される予定である。 並行して、研究代表の吉田、また本研究を概括している日下部を中心に、調査対象各地域の比較分析を推進し、学校改善実践研究の総括的議論に有用な知見を蓄積することに邁進する。 上記の地域研究、及び国際比較分析を推進した後、国際機関レベルで展開する国際教育協力政策と、各国政府・教育省、そして地域や学校といったレベルで展開されている学校改善実践との整合性あるいは不整合性について追求し、ステートメントとしての教育理念や政策、そして実態としての教育実践の齟齬を埋めるような政策・戦略提言に結びつく研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
研究協力者である正楽藍がカンボジア調査を予定していたが、出産・育児のため、執行を待つこととなったため、また、研究分担者が澤村信英を南スーダンに派遣する予定であったが、当該地が紛争状態に入ったため、執行を延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者である正楽藍を平成27年度にカンボジア調査に派遣、及び、南スーダン調査からマラウィ調査に変更して執行する使用計画としている。
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