2014 Fiscal Year Annual Research Report
大学経営の基盤となる財務情報の戦略的活用に関する研究
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25285236
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Research Institution | Tohoku University of Community Service and Science |
Principal Investigator |
水田 健輔 東北公益文科大学, 公益学部, 教授 (30443097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 展之 公益財団法人未来工学研究所, その他部局等, 研究員 (20556071)
山本 清 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60240090)
渡部 芳栄 岩手県立大学, 高等教育推進センター, 准教授 (60508076)
島 一則 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (70342607)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大学経営 / 教育コスト / 研究コスト / 支援コスト / アメリカ / パフォーマンス・ファンディング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、国内で計2回の研究会を実施するとともに、米国の公的高等教育セクターにおける教育コスト情報の活用実態について、訪問調査を実施した。 まず、2回の研究会の内容については、次のとおりである。第1回は5月22日に開催し、年度内の研究計画を検討するとともに、前年度に米国で実施した教育コスト情報の活用に関する質問紙調査の結果を最終的に確認・共有した(この調査結果については、同年6月28日に日本高等教育学会第17回大会で発表を行った)。さらに、平成26年度中に予定していた訪米調査の訪問先に関する検討をあわせて行った。第2回については11月3日に開催し、訪米調査の結果に関する報告と情報共有をはかった(内容は後述)。 次に訪米調査については、9月7-14日の間、フロリダ州およびイリノイ州の以下の機関を訪問した:State University System of Florida, Board of Governors, Florida State University, University of Florida, Illinois Board of Higher Education, University of Illinois at Urbana/Champaign。両州とも詳細な教育コスト計算を実施し、かつては学生増加分に対する限界費用として予算編成に使用していた。しかし、リーマンショック以降は州政府予算の大幅な減額にともない、積算根拠としての活用は保留された。現在は、両州ともベース予算の一部を業績ベースで再配分しており、評価指標にコスト情報を含める形で利用を継続していることが明らかとなった。なお、この訪米調査の成果を軸とした発表を、平成27年6月に開催される日本高等教育学会第18回大会で行う予定である。 その他、個別分担領域の研究は、計画に沿って概ね順調に進められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に予定していた訪米調査について、平成26年度に実施が完了し、所期の目的を達成できたことについては、順調に進展しているものと評価している。英国調査については、文献調査等が研究代表者および分担者の個別研究において順調に進められたが、訪問調査の実施に至らなかった点を考慮し、「おおむね」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までに得られた結果を踏まえて、次のように進める。 (1)教育コスト研究・研究コスト研究:米国の教育コストに関する研究成果を、金融危機後におけるコスト情報の活用方法の変化等を含めて学術的研究成果としてまとめる。また、文献調査を進めてきた英国の「コスト透明性アプローチ(TRAC)」による研究(TRAC)及び教育(TRAC(T))の総経済コスト計算(fEC)について、現地訪問調査を実施し、成果をまとめる。具体的には、イングランド高等教育財政カウンシル(HEFCE)におけるヒヤリング調査を中心とし、TRAC開発グループ(TDG)と財務的持続可能性戦略グループ(FSSG)の過去のプロジェクトの成果および現在取組中の活動について詳細を確認する。中でも特に注目されるのが、「経営情報プロジェクト(MIPs)」であり、コスト計算の技術的側面のみならず、情報の活用局面について日本国内では手に入らない情報の入手に努める。その上で研究カウンシル協議会(RCUK)、英国大学協会(UUK)、英国内の大学2校程度をあわせて訪問し、研究資金配分および大学におけるガバナンスでの情報利用の詳細を把握する予定である。 (2)支援コスト研究:前年度までの米国と同じく、英国の個別大学におけるコスト計算の適用事例について、現地訪問調査時に情報を収集し、精査する。 (3)予算制度研究:日・米・英のコスト情報活用の取り組みについて、政府-大学間のマクロの予算制度、および学内のミクロの予算制度の観点から比較研究を行い、海外の取り組みから得られる示唆をまとめる。 (4)最終年度にあたり、上記(1)~(3)を着実に遂行した上で、成果をとりまとめる。
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Causes of Carryover |
平成26年度に予定していた日本の大学に対する訪問調査を平成27年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本の大学への現地調査を予定通り実施することにより使用する。
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