2015 Fiscal Year Annual Research Report
「復興」期における被災コミュニティ再編と子どもの学校生活・進路に関する追跡的研究
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25285237
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
清水 睦美 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70349827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 洋介 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80433233)
堀 健志 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10361601)
妹尾 渉 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (00406589)
日下田 岳史 大正大学, その他部局等, 助教 (30734454)
山本 宏樹 東京理科大学, 付置研究所, 助教 (20632491)
児美川 孝一郎 法政大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50287835)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / エスノグラフィー / 地域社会 / 学校統廃合 / 復興 / 学校文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災発生以後の事態・対応に関わって、特に「復興」と呼ばれる時期において立ち現れるコミュニティの再編と子どもの学校生活や進路先の変化を、実証的にかつ追跡的に検討するという目的において、本年度、統合中学校における各学年でのフィールドワークでデータ収集を継続的に行うことに併せて、統合中学校の教員インタビュー、卒業生インタビューを行い、震災経験の意味づけの変化や進路に与えた影響等の語りをデータとして収集した。また、生徒達に対して行った統合に関わるアンケートのデータ、生徒達自身の書いた作文のデータも収集した。これらは、最終年度に経験変化を検討する際の基礎資料とする予定である。 今年度の成果報告として、第1に、2014年度までの統合中学校でのフィールドワークのデータをもとに、被災地ではぐくまれる学校文化を検討した「被災地の学校文化:陸前高田市立H中学校のエスノグラフィー」を発表した。被災後に統合された被災中学校は、地域の象徴として規律ある学校秩序を形成することを主眼としつつも、、他方で、被災学校として主体化する実践や被災経験をたがやす実践が行われる。ただし、そうした実践の背後には、逡巡する教師の営むケア的な文化、配慮し支え合う生徒文化があることを明らかにした。 第2には、生徒たちが震災後に毎年書いてきた震災作文における語りの特徴を検討し、「教訓」「鎮魂」「戸惑いや躊躇い」を抽出した。その上で、フィールドワークデータととあわせた分析により、学校において「戸惑いや躊躇い」に対する配慮が高く保持されていることを明らかにした。 第3には、年度当初の計画にはなかったが、雑誌『社会と調査』の依頼を受けて、災害をめぐる調査研究のあり方を検討した。震災直後の支援者として立場から研究者としての立場への移行を、「信頼」概念を軸に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って予定どおりの進捗している。本年度は研究方法に関する分析を行えたことが予定外の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進める予定である。なお。統合学校の新校舎建設が遅れたことから、最終年度である2017年度にもフィールドワークが必要となっている。予算不足が懸念されることから、今年度の調査回数を調整する。
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Causes of Carryover |
統合学校の新校舎建設が遅れたことから、最終年度である2017年度にもフィールドワークが必要となっている。予算不足が懸念されることから、今年度の調査回数を調整する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である2017年度の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)