2014 Fiscal Year Annual Research Report
多層指導モデルによる学習困難への地域ワイドな予防的支援に関する汎用性と効果持続性
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25285262
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| Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
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Principal Investigator |
海津 亜希子 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育支援部, 主任研究員 (00342957)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 教育心理学 / 多層指導モデル / 学習困難 / 予防的支援 / 地域ワイド / アセスメント / 特別支援教育 / 学習障害 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
多層指導モデルMIMは，平成18年度からの科研費による研究で開発に至った学力指導モデルである。具体的には，通常の学級において，まずは効果的指導を全ての子どもを対象とする授業で行い，それでも習得が難しい子どもに対しては，第２段階として通常の学級内での補足的指導，それでも困難な場合には第３段階としてより個に特化した指導を行う。これまでの研究（平成22-24年度の科研費による研究）では，市内全小学校（22校）で多層指導モデルMIMを導入するといった一地域での実践事例がある。そこで本研究では，この事例で明らかになった成功要因と課題要因を整理し，条件の異なる地域での汎用性を検証していくことを目的とする。学校内における校内体制としてのMIMの取組，加えて，各学校でのMIMの取組を自治体が支援する「地域ワイドでのMIMの実践」が叶えば，取組の継続性や安定性が保障されると考える。
その他にも，「１年生時にMIMによる指導を受けた子どもの追跡調査」「Web上でのMIMに関する広場（フォーラム）の開設」，「異教科MIMの汎用化」等を目的としている。
今年度（平成26年度）の成果としては，異なる条件を有する13の自治体（人口規模にして約17,000人から964,000人の範囲）より，自治体として行ったMIMの取組に関する情報収集をすることができた。これにより，MIMの実践を通常の学校に導入するに際し，地域としていかに体制整備を行うかについての具体的要因（支援体制の構築，研修の在り方等）が明らかになった。
また，地域ワイドでのMIMの取組を研究者側が支える仕組みの一環として「Web上でのMIMに関するフォーラム」の開設に向け，コンテンツ（例：「MIMとは」「MIMに関するQ＆A」「地域におけるMIM」「MIMの関連資料」等）の準備がほぼ整い，あとはシステムの構築を待つのみとなっている状況である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における大きな目的のひとつは，多層指導モデルMIM（平成18－20年度の科研費により開発を遂げた）を，自治体単位で取り組もうとしているところが増えてきているのに際し，いかに自治体として体制整備を行えば，MIMが学校内で効果的に機能するかを追究することにある。
これまでの研究（平成22-24年度の科研費による研究）では，一地域での実践事例があったのみであった。それが，本科研（平成25-28年度）において，本年度までに13の自治体（人口規模で約17,000人から964,000人の範囲）より，MIMの取組に関する情報収集が叶った。これらの自治体とは年間を通して継続的に情報交換をしている。これによりMIMの実践を通常の学校に導入するに際し，地域としていかに体制整備を行うかについての具体的要因が明らかになっている。
また，こうした地域ワイドでのMIMの取組を研究者側で支える仕組みの一環として，「Web上でのMIMに関するフォーラム」の開設に向け，コンテンツ（例：「MIMとは」「MIMに関するQ＆A」「地域におけるMIM」「MIMの関連資料」等）の準備がほぼ整い，あとはシステムの構築を待つのみとなっている状況である。当初，本年度内での開設予定であったが，年度途中から研究代表者が産休に入ってしまったため，開設は来年度に修正している。
その他，「１年生時にMIMによる指導を受けた子どもの追跡調査」については，当初の研究計画通り，順調にデータ収集ができている。また，「異教科MIMの汎用化」については，早期の算数能力（数概念等）に関するアセスメントを扱った研究論文が現在，学術雑誌の査読段階に入っている状況である。
以上，４点の目的に沿い，順調に進んでいる研究（１つ），計画通りに進行している研究（２つ），やや遅れている研究（１つ）があると判断し，総合して「概ね順調に進展している」とした。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成27年度（８月より）は，平成26年度，１年間MIMに取り組んできた実践地域の効果検証の分析を行う（８月に平成26年度末に実施した効果検証テストのデータ提供依頼を行い，データを収集する）。また，現在行っている，実践地域（教育委員会）からの実践状況報告（成果および課題）について８月時点で収集されている情報の整理を行い，通常の学校に導入するための「地域の体制整備の手法，実践例」としてまとめを行い，情報提供を行ってくれた自治体，今後取組を思案している自治体に対して公表を行う（９月予定）。
さらに，平成26年度に「読みの流暢性」をめざしたMIMによる指導を小学校１年生時に受けた児童が，平成27年度には小学校２年生になるのにあたって，年度末に追跡調査を行い，成果をまとめる。
また，これまで，MIMについて，広く情報公開，情報共有を目的にコンテンツ開発を行ってきたWebサイトの開設を平成27年度10月に行う。
平成28年度は，最終年度として，広く一般公開用に，平成25年度から平成27年度までの実践例およびデータ分析結果を基にした「地域ワイドでの多層指導モデルMIMに関する事例集」を完成させる。さらに，小学校１年生時に「読みの流暢性」をめざした多層指導モデルMIMを受けた児童にどのような成果があるかを地域単位等で分析を行い，どういう要因が学業上の効果に影響するのかについて論文にまとめる。この論文のテーマは，「地域ワイド」ということ，また「効果の持続性」という点でまとめる予定である。最終年度は，MIMのWebサイト運用後１年間が経過する予定でもあるので，実際にユーザーに対して，聴き取り調査等行い，さらに充実したサイトになるよう工夫を行う。そして，最終年度にあたり，これら一連の研究成果について総括的に報告書としてまとめ，成果の発表を行う。
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| Causes of Carryover |
年度途中より産前産後休暇を取得したため，やむなく研究を中断することとなり，研究計画（予算執行計画も含め）を修正することとなった。なお，継続して育児休業を取得し，次年度（平成27年度）８月に復帰後，研究再開予定である。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度，年間を通じてMIMに取り組んできた実践地域の効果検証のため，研究再開後（平成27年８月）に，平成26年度末に実施されている効果検証テストデータの提供依頼を（業者に対して）行い，データを収集する（なお，協力自治体にからは既にデータ提供の同意書を得ている）。また，これまでMIMについて，広く研究成果等の情報公開，情報共有を目的にコンテンツ開発を進めてきたWebサイトの開設を平成27年10月に行う。以上が平成26年度予定していた内容であり，平成27年度研究再開後速やかに遂行予定の内容である。加えて，当初の計画通り，平成26年度末時点で実践地域（教育委員会）から得られている状況報告の整理を行い，報告書としてまとめること（９月公表予定），平成26年度に「読みの流暢性」をめざしたMIMの指導を１年生時に受けた児童が２年生の時点でいかに効果が持続できているかの検証を平成27年度末に行う。
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