2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25286018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 俊也 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究チーム長 (90314054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹下 将克 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 主任研究員 (10533458)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フラーレン・ナノチューブ・グラフェン |
Research Abstract |
25年度は、まず、リソグラフィー技術を用い、基板上に転写したグラフェンシートをアンテナ形状へと加工する作業をおこなった。基板には遠赤外光の透過特性の良いシリコンウェハーを用いた。購入した1ミリ□のグラフェンシートの赤外吸収測定をおこない、ドルーデ吸収が観測できることを確認した。そして、フォトリソグラフィーおよび電子線リソグラフィーによる、サブマイクロ~マイクロメートルオーダーの長方形型のグラフェンナノリボンの作製に取り掛かった。試行実験を行った結果、各操作の手順、および使用する試薬などの実験条件を確立した。なお、ナノリボン形状測定は原子間顕微鏡をもちいておこなった。 次に、加工後のグラフェンナノリボンについて、遠赤外吸収スペクトルの形状依存性を測定した。その結果、作製したグラフェンナノリボンの形状によって、スペクトルのピーク位置が異なることを見出した。一方、グラフェンナノリボンの遠赤外吸収ピーク位置は、そのキャリア密度に大きく依存することも知られている。実際にF4TCNQなどのドーパントをドープして測定したところ、吸収強度が増大し、ピーク位置が高波数側にシフトすることがわかった。つまり、グラフェンナノリボンのナノアンテナ特性を正確に調べるには、キャリア密度を制御して分光測定する必要があることがわかった。 そこで、グラフェン試料にゲート電圧を印加しながら、遠赤外スペクトル測定することができるように、測定装置の改良に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、アンテナ効果によるグラフェンをもちいた光電変換素子の構築に向け、ラフェンのナノアンテナとしての基本特性を主に分光法によって探索し、最適な形状および組成を探索することである。25年度は、リソグラフィーによるナノリボン形状加工の条件を確立し、実際に遠赤外吸収スペクトルが得られることを目標としており、実際に、この目標は達成することができた。しかし一方、グラフェンナノリボンの遠赤外吸収ピーク位置はキャリア密度に非常に敏感で、キャリア密度を精度よく制御して測定する必要があることが同時に判明した。そこで、当初の予定にはなかった測定装置の改良作業に着手することになった。これらの状況を総合的に判断した結果、「(2)おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で、グラフェンナノリボンの成形加工に関する基礎技術は確立した。しかしながら、同時にキャリア密度を精密に測定あるいは制御して、分光測定をする必要があることが判明した。そこで、グラフェン試料にゲート電圧を印加しながら、遠赤外スペクトル測定することができるように、測定装置の改良に着手している。本改良は26年度前半には完了する予定であり、当初目標である種々の形状を持ったグラフェンナノリボンのアンテナ特性を遠赤外分光で明らかにすることは、研究期間内で達成可能であると考えている。さらに、この改良によって、キャリア密度と分光計測の同時測定が可能となり、初めての報告になるだろう。その結果、これまでに知られていなかったグラフェンナノリボンの基本物性に関する新しい知見が、本研究によって得ることができると期待している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度では、グラフェンナノリボンの成形加工に関する基礎技術を確立させ、各種形状をもつグラフェンナノリボンを系統的に作製し、分光測定をおこなう予定であった。しかしながら、キャリア密度を精密に測定あるいは制御して、分光測定をする必要があることが判明してきた。そのため、グラフェン試料にゲート電圧を印加しながら、遠赤外スペクトル測定することができるように、測定装置の改良をおこなう必要が出てきた。その結果、当初予定していたグラフェン試料や加工にかかわる消耗品の消費ペースが落ちた。 グラフェン試料にゲート電圧を印加しながら、遠赤外スペクトル測定するための測定装置改良費、およびグラフェン試料および加工にかかわる試薬や装置使用料などに用いる予定である。装置の改良は26年度には完了する予定であり、当初目標である種々の形状を持ったグラフェンナノリボンのアンテナ特性を遠赤外分光で明らかにすることは、研究期間内で達成可能であると考えている。
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