2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノドットの一次元コヒーレント結合構造を用いたレアメタルフリー高性能熱電材料開発
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25286026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 芳明 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60345105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤野 憲太郎 東京都市大学, 工学部, 准教授 (90409376)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ材料・創製プロセス / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コヒーレントなナノ構造を、Si系材料で形成し、高性能のSi系熱電材料を開発することにある。昨年度まで、鉄シリサイド、Geナノドット等を用いてコヒーレントナノ構造の形成技術開発を行い、熱伝導率の大幅な低減に成功した。本年度は、より構造形成がしやすいGeナノドット/Si系材料を用いることで、コヒーレント結合による熱電性能向上を示すことを狙った。具体的には、電気伝導測定を行った。ナノドットの配置から、電気伝導測定方向を熱伝導測定方向に合わせる必要があると考えた。しかし、電気測定を行った結果、ナノドットの配置をランダムにした場合と、異方性を有した配置をした場合のどちらの場合でも、電気伝導率のキャリア濃度依存性は、Siバルクのそれと同程度となることがわかった。このことから、本ナノ構造試料においては、電気伝導測定の測定方向依存性が弱いということがわかり、測定方向依存性を調べる取り組みを行わず、高電気伝導率が得られるように最適化を行った。 その結果、熱伝導率が低減しながら、バルクSiの高い電気伝導率と同程度を得るという好ましい予備データを得ることができた。すでにある程度の成果は得ているが、完全にデータを取り切る前に、装置に不調が生じた。装置の改善に時間を要したため、測定の一部と学会発表等の結果報告は、来年度行うことに繰越申請をして、計画変更をすることにした。好ましい結果を得ているので、方針は、そのままで行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コヒーレントナノ構造の高性能化を示す結果は、順調に進んでいたが、昨年の装置の不具合のため。そのため、測定の一部とそれらの外部発表等を行うところができなた、来年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べましたように、好ましい結果がでているので、H28年度に残りの一部のデータを得て、外部発表を行うのみであるので、スムーズに推し進めることができると考えられる。
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Causes of Carryover |
これまで、ナノ構造により熱伝導率を大幅に低減したSi系材料の形成に成功した。今年度は、ドーピングを適切に行うことにより、バルクSiと同程度の高い電気伝導率が得られるという好ましい予備的な結果を得た。しかし、装置の不調により、一部の測定とこれら結果の発表を行うことが、当初の予定より遅れ、H28年度に行う必要ができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
好ましい結果で出ているため、現在の測定を行い、高い電気伝導率を実証する。その後、様々なところで、学会発表を行い、本結果の報告に努める。これらを実行することを考えて、”物品費”、”その他”の項目に予算を当てつつも、旅費にある程度配分する予算計画とした。
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