2014 Fiscal Year Annual Research Report
結晶材料組織解析のための電子線トモグラフィー技術の高度化
Project/Area Number |
25286027
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
波多 聡 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (60264107)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー / 3D / 磁性体 / 鉄鋼材料 / 試料ホルダー |
Outline of Annual Research Achievements |
磁性体の電子線トモグラフィー観察手法の確立に向けた研究を進め、加速電圧200kVの汎用透過電子顕微鏡での高角度環状暗視野走査透過電子顕微鏡法による、直径3mm鉄鋼材料ディスク形状試料の3D組織観察に一定の目処を付けた。主な知見を以下にまとめる。 (1)機械研磨後の試料厚みと、試料傾斜に伴う電子線照射領域移動量の間には線形関係が認められた。 (2)レンズ電流を変えずに、試料高さを変えて焦点合わせを行う方法により、非磁性試料と遜色ない3D再構成画像が得られる。 (3)試料傾斜時には、鏡磁性体薄膜試料に様々な方向から応力がかかり、特に薄い領域や亀裂が入った領域は、傾斜時に変形や破損を起こすことがある。また、±0°傾斜近傍での試料の変形は、試料上のX(主試料傾斜)軸とY軸(Xに直交)軸の両方の傾斜成分を数°程度持っていた。 (4)連続傾斜像の撮影条件を最適化しつつ、フェライト中のV-C系析出物の3D分布観察を行った。3D画像データから求めたV-C系析出物の体積率は、平衡状態図から求められる析出物の体積率と一致した。 更に、自主開発した高角度3軸傾斜試料ホルダーにおいて、任意の角度に回転できる試料台の設計と各部材の製作、および試料の回転角度を回折図形から求めるためのソフトウェアの開発を進めた。これらについては、次年度も継続して行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の中心的なタスクである強磁性体試料の電子線トモグラフィー観察法の確立において、概ね目標通りの成果が得られため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ハード(回転機構付試料ホルダー台)とソフト(試料回転角測定ソフト)を組み合わせて、回折コントラストによる3D観察の簡便化と高速化を図る。 鉄鋼材料(強磁性体)中の転位の3D観察に挑戦する。電子線の曲がり、および試料の変形に伴う回折条件の変化を追随する方策を練る(ビーム傾斜機構の援用など)。 圧縮センシングアルゴリズムにより、傾斜像枚数を減らすことを、磁性体3D観察の成功率および寸法再現精度の向上に活かせないか検討する。
|
Causes of Carryover |
高傾斜3軸試料ホルダー上の試料を任意の角度に回転するためのホルダー台の製作が当初の予定よりも遅れているため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
高傾斜3軸試料ホルダー用試料回転台作製費用に234,623円
|