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2014 Fiscal Year Annual Research Report

グラフェンを用いた1分子シーケンシング

Research Project

Project/Area Number 25286031
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

田中 裕行  大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20314429)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywordsグラフェン / SPM / ニッケル / 白金 / 薄膜 / 表面 / 真空
Outline of Annual Research Achievements

前年度に引き継ぎ、グラフェン基板の観察および最適化をおこない、成果の学会発表だけでなく論文投稿を行った。
グラフェンを用いる理由は、過去の成果で、金属基板のCu(111)上では、分子指紋のエネルギーが分子による差が少なかったことと、そもそも分子指紋も明瞭にでない分子があった。それに対して、グラフェン基板上では、分子指紋のエネルギー的な違いが分子によって明瞭に異なることを理論計算より見出した論文報告があるためである。金属基板が必要なのは、フリースタンディング状態では、グラフェン薄膜の振動のため、SPM観察困難だからである。グラフェンは、剥離法ではなく、金属基板表面上へ炭化水素ガスを暴露することによって成膜した。そのベースとなる金属としては、ニッケルと白金を用いた。グラフェン基板が安価かつSPM観察に適した原子レベルで平坦である必要性から、単結晶ではなく、金属薄膜が有利と考えられる。ある絶縁基板上にニッケルを成膜し、さらに、炭化水素ガスを暴露することにより、数層のグラフェンを成膜できることを、SPMおよび、特殊顕微鏡により確認できた。白金の場合は、ニッケルに比べて成膜が遅いことを確認した。なお、比較実験として、金属単結晶基板でも、同様に原子レベルの平坦化を試みたが、限られた期間内では、十分に平坦化することはできなかった。
大気下で表面形状を評価するSPMのピエゾアクチュエーターが破損したことと、超高真空STM装置の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)のベアリング劣化のため、分子指紋のデータベース化とDNA-基板間相互作用の解明が遅れ気味で十分な成果は得られていないが、ある絶縁性基板の上にニッケルを原子レベルで平坦な成膜条件を見出し、さらに、グラフェンを数層成膜することに成功し、学会発表および論文を投稿も済である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の区分の根拠は、全体として、本研究の遂行に適した(必要な)原子レベルで平坦なグラフェンの成膜に必要な、ニッケルと白金基板の作成の困難さにある。もちろん、どのレベルで「手打ち」をして、先に進むかという問題もあるが、現在では十分なレベルに達したと判断し、学会発表および論文投稿を行ったが、やや遅れていることは否めない。
特に、研究が進みにくい理由は、必要な装置の不具合である。すべての装置が新規購入で故障なし!というわけにはいかず、予想できないだけでなく、原因の特定と対処にも時間がかかってしまうことがある。実際に、大気下で測定する顕微鏡の性能が長期にわたり落ちたり不安定になり、結局、ピエゾアクチュエーターの劣化破損が原因と判明したり、超高真空下で観測するためのSTMの真空度が悪く、実験が捗らないことが続き、結局、真空容器内の汚染だったり、ポンプに問題があることが発覚したりした。なお、超高真空STMのピエゾアクチュエーターの修理のために十分な修理費を計上し、かつ進捗が遅れた分だけ執行が遅れた予算を繰り越しするなど、適切に研究を遂行させていただいたとも言える(そのようなことが認められる制度に対して感謝している)。

Strategy for Future Research Activity

本研究の遂行に適した(必要な)原子レベルで平坦なグラフェンの成膜に関しては、Ni(111)成膜に関して論文投稿をしているところである。今後は、グラフェン単体としてのラマン分光測定を検討している。また、エフォートが限られるため、共同研究によりデバイス特性の研究も検討している。
今後の本来の予定としては、既存の装置による、DNAなどの識別および、qPlusセンサーを導入したSTM/AFM同時測定により詳細情報を収集し、DNAの構成要素である、糖燐酸鎖や塩基分子、カウンターイオン(Na+)などの識別を試みる。
課題としては、装置の稼働率に大きく依存すると考えられる。超高真空装置に一度不具合が発生すると不具合の原因が軽微なものでも(たとえば僅かなリークや汚染であっても)、原因調査やその対策に大変な労力がかかることがある。また、大気下で観察を行うAFMであっても、予想しなかった不具合が実際に発生して、このためにかなり時間と労力を奪われてしまった。対策としては、やはり、一つの装置に依存するのではなく、複数の装置を同時に使い、どちらかではデータが出るという状態を保ちたいと考えている。さらに、「詰んだ」ときには、ほかの研究者と相談したり、共同研究も視野にいれるなど、独りよがりにならないように心がけたい。

Causes of Carryover

STMの探針が劣化し測定継続困難となる主要因のコンタミの除去には成功したが、成膜したグラフェン自体に存在する嵩高い皺状の構造体との接触によりSTM探針が劣化し、測定効率を著しく低下させる減少が発生した。この解決のために、平成26年10月を超えて成膜条件の最適化を行うことになり、より多くの時間と労力が必要が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

研究遂行に必要な、グラフェン基板の観察および最適化、分子指紋のデータベース化とDNA-基板間相互作用の解明のために、実験材料、データ取得、解析装置、さらに論文学会発表経費等に使用する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2016 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Atomically flat nickel film grown on synthetic mica2016

    • Author(s)
      Hiroyuki Tanaka, Masateru Taniguchi
    • Journal Title

      Japanese Jounal of Applied Physics

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      -

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] STMに適したPt(111)基板の作成2015

    • Author(s)
      田中裕行,谷口正輝
    • Organizer
      応用物理学会
    • Place of Presentation
      神奈川県・平塚市
    • Year and Date
      2015-03-11 – 2015-03-11
  • [Presentation] Pt(111)基板上のグラフェンの成膜2015

    • Author(s)
      田中裕行,谷口正輝
    • Organizer
      日本表面科学会
    • Place of Presentation
      北海道・札幌市
    • Year and Date
      2015-03-09 – 2015-03-10
  • [Presentation] Preparation of Atomically Flat Pt(111) Surfaces2014

    • Author(s)
      Hiroyuki Tanaka, M.Taniguchi
    • Organizer
      the 22nd International Colloquium on Scanning Probe Microscopy
    • Place of Presentation
      静岡県・賀茂郡
    • Year and Date
      2014-12-11 – 2014-12-13
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] DNAオリゴマー中のピリミジン塩基分子のdI/dV測定2014

    • Author(s)
      田中裕行,谷口正輝
    • Organizer
      応用物理学会
    • Place of Presentation
      北海道・札幌市
    • Year and Date
      2014-09-17 – 2014-09-20

URL: 

Published: 2017-01-06  

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