2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25286031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 裕行 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20314429)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グラフェン / 基板 / DNA / シークエンシング / 顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:申請者が独自に開発した世界で唯一の技術であるDNAの伸長固定方法(成立特許)及び走査型トンネル顕微鏡(STM)による塩基識別手法を、最新の理論計算予測やグラフェン基板を採用するなどの実験条件最適化により、全4種類の塩基のシークエンシングを実現することを目的に研究を行う。固体表面に伸長固定させたDNAを一塩基の分解能でSTM観察・分光測定するだけでなく、伸長固定化メカニズムや吸着系の電子状態の理論的解析を行い、さらに近年発展してきたSTM/原子間力顕微鏡(AFM同時測定も適応し、実験手法的にも実験・理論的にも多角的で、学理的にも確立した信頼性の高い次々世代単分子シークエンシングを、単分子に近いごく微量で世界に先駆けて実現する。 本年度に具体的に行ったのは、STMによるDNAのシークエンシングを実現するために、銅基板だけでなく、グラフェン基板を用いることを進めた。さらに、STMだけでなく、AFMを併用あるいは、同時測定を行うことも進めている。それらの手段を用いて目的を実現することを進めている。 本年度に具体的に行ったのは、AFMの調子が悪かったため、同時測定は延期し、銅基板だけでなく、グラフェン基板を用いることを中心に進めた。その結果、世界最高レベルで平坦なニッケルや白金基板を簡便に再現性良く成膜することに成功し学会等で発表した。具体的な概要では、マイカ基板上にニッケルを蒸着し、アニール処理により、原子的に平坦な111配向膜に成長させることに成功した。一方、白金のほうは、RFスパッタを用いて原子的に平坦な111配向薄膜を成長させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
走査型トンネル顕微鏡(STM)によるDNAのシークエンシングを実現するために、銅基板だけでなく、グラフェン基板を用いることを進めている。さらに、STMだけでなく、原子間力顕微鏡(AFM)を併用あるいは、同時測定を行うことを進めているが、STM装置系のポンプの故障対策のための修理や、AFMの故障など、装置の経年劣化に伴うマシントラブルの対応のため、想定の通りに研究が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
経年劣化は(震災のように)いつ発生するか不明であるが、メインの実験装置であるSTMに関しては、大がかりなメンテナンスを終えており、計画通りに研究が遂行できると期待される。従って、当初の計画どおり、グラフェン基板上に吸着したDNAのSTMにるシークエンシングやSTMとAFMの同時計測による実験を行う。さらに計算実験による検証では、密度汎関数法による理論解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
、STMだけでなく、原子間力顕微鏡(AFM)を併用あるいは、同時測定を行うことを進めているが、STM装置系のポンプの故障対策のための修理や、AFMの故障など、装置の経年劣化に伴うマシントラブルの対応のため、想定の通りに研究が進まなかった。 修理すべき箇所の特定や、その修理の手配などに時間がかかり、それに関与する研究に拠出すべき研究費の繰り越しを行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経年劣化は(震災のように)いつ発生するか不明であるが、メインの実験装置であるSTMに関しては、大がかりなメンテナンスであり、慎重におこなうべきである。そこで、次年度の2016では、十分な準備を行ってからSTMのメンテナンスを行う。一方、AFMでは、STMとAFMの同時測定をこなうことを進める。得られた研究成果は、まとめて学会や学術論文誌にて発表する。 このように、研究遂行の妨げとなっている修理や、当初予定していたSTMやAFM、それに得られた成果をまとめ、発表するために経費に使用する。
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