2014 Fiscal Year Annual Research Report
1細胞計測のためのフォトニクス・マイクロフルイーディックス融合デバイスの構築
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25286034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20282337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 潔 筑波大学, 数理物質系, 客員教授 (20375405)
尾崎 信彦 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30344873)
横川 雅俊 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50447885)
杉本 喜正 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主席研究員 (60415784)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 方向性結合器 / 導波路 / 屈折率 / DNA / 単一細胞解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
微小領域での高感度バイオセンシングを目指し、トランスデューサとなる方向性結合器の試作と評価を進めた。厚さ2.0 μmのSiO2層(屈折率1.46 (波長 633 nm))を形成したシリコン基板上にフォトレジストSU-8 (屈折率1.59 (波長 633 nm))の導波路を電子線描画により形成し、方向性結合器を作製した。導波路寸法は、幅600 nm、高さ700 nm、間隔300 nmとした。測定は方向性結合器出射部の光強度をCCDカメラの画像から定量し、規格化することにより調べた。 まず、デバイスの応答を、空気、水、エタノールをサンプルとして調べた。伝搬光の規格化光強度P2/( P1 + P2))の変化を測定し、FDTD法によるシミュレーション結果との比較を行った。測定値とシミュレーション結果は良い一致を示した。また、DC長20μmのデバイスにおいても、空気、水、エタノールそれぞれのシグナルを分離することができ、微小なデバイスを用いた異なる液体の測定が可能であることが示された。 続いて、方向性結合器表面に1本鎖プローブDNAを固定化し、それと相補的配列を持つ量子ドット修飾DNA (QD-DNA)をハイブリダイズした際のシグナル変化を測定した。測定には方向性結合器長20~1540 μmの異なる16種のデバイスを用いた。QD-DNAをハイブリダイズした際のシグナル変化の測定では、方向性結合器長20μmの微小なデバイスにおいても、規格化光強度0.71から0.74へと有意な変化が確認され、相補鎖DNAの検出が可能であった。一方、方向性結合器長1540μmのデバイスにおいては、規格化強度が0.32から0.94に変化し、応答が増幅されることが確認された。これらの結果より、方向性結合器型デバイスにより、微量な表面吸着物質の測定が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションによる設計の後、方向性結合器を実際に作製して、屈折率の異なる溶液あるいはDNAを用いた特性評価を進めた。これにより、当初の予想通りの応答が得られることを確認した。微小流路と結合して水溶液プラグ中の成分の検出を行う実験がやや遅れているが、全般的には計画通り研究が進展し、当初予想していた結果が着実に得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
微小流路を結合して、水溶液プラグ中のタンパク質を検出することを行う。これまでの評価により、結合長が長いほど、高感度な測定が可能であることが示された。一方で、プラグを用いることによる使用する溶液量の微量化も重要な課題である。これらを両立しうる微小流路構造を検討する必要がある。これを確認した後、細胞を用いた実験へと進む。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に予定していた国際会議での成果発表が平成27年4月にずれ込んだ。また、デバイスの試作・評価に必要な資材は平成26年度末までに使用分は間に合っていた。保存中に劣化の恐れがある試薬もあり、助成金分は繰り越し可能であるため、平成27年度、必要になった際に補充することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議での成果発表のための旅費、参加登録費として使用する。また、平成27年度、デバイスの試作・評価に必要な資材は、必要になった時点で適宜購入する。
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Research Products
(2 results)