2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ形態制御薄膜-液体系の光熱音響効果に関する研究
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25286037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 基史 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00346040)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サーモプラズモニクス / 動的斜め蒸着 / 自己組織化 / 熱工学 / マイクロ・ナノデバイス / マランゴニ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の目的】本研究では,動的斜め蒸着法という独自の薄膜技術を駆使して作製する光吸収体をナノヒーターとして用い,液中での光音響効果を調べ,ナノバブル発生に伴う非線形光熱音響効果が発現するための条件やメカニズムを明らかにし,超音波発生源としてMEMS動力源や診断への応用の,みちすじをつけることが目的である. 【平成26年度の成果】平成26年度は,150 μJ/パルスの高出力レーザーを導入し,水中での光音響信号測定用のセルを開発して装置を構築した.そして,水中で,グラファイト,Si,Auナノ粒子などにパルスレーザーを照射し,光音響信号を計測することに計測した.また,音響信号の発生には,照射する光のパワー密度に対する閾値が存在することを確認した.この閾値の前後で液-気の相転移が起きていると考えられ,平成27年度に詳しく調べる計画である. パルスレーザーによる光音響信号の計測を試みる一方で,連続発信レーザー照射を用いた光熱変換に誘起される微小領域での流れの詳細な観察を行った.その結果,1) Auナノ粒子配列を用いることで,所望の場所に所望の大きさの気泡を形成できること,2) 気泡の周辺にレーザーを照射して局所的に加熱すると,気泡周辺に極めて強い流れを誘起できることを発見した.この現象は気液界面のマランゴニ効果によるものと考えられる.この結果をまとめた論文は,Appl. Phys. Lett. 誌に掲載され,Editor’s Picksに選出されるなど,高い評価を受けた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パルスレーザーによる光音響効果の測定装置の開発が若干遅れ気味である一方で,レーザー照射による光熱変換を利用した流体制御に関しては,マランゴニ効果による極めて強い流れの生成に成功しており,MEMS等への応用への道筋が見えてきた.総合的には計画通りに推移している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策 1) パルレーザー照射による光音響効果における相転移の影響を詳しく調べ,ナノバブル発生のメカニズムを詳細に調べる. 2) 平成26年度に発見したマランゴニ効果による流れの制御法を確立し,MEMS分野におけるあたらしい流体駆動法への発展を試みる. 3) パルスレーザーを用いたマランゴニ効果の発生に挑戦し,マランゴニ効果における相転移の影響を調べる.
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Causes of Carryover |
マランゴニ効果によって気泡周辺で強い流れを発生することを発見し,メカニズムの解明に注力したために,パルスレーザーを用いた光音響計測系の整備が若干遅れた.差額が生じたのは主に計測系の構築に使用する光学素子の購入が遅れたためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り,光学素子の購入に充てる予定である.
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