2013 Fiscal Year Annual Research Report
共蒸着膜のpn制御による15%効率有機タンデム太陽電池の開発
Project/Area Number |
25286044
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
平本 昌宏 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 教授 (20208854)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 有機半導体 / ドーピング / pn制御 / 内蔵電界設計 / 共蒸着膜 / バンドマッピング / ケルビン法 / 抵抗低減 |
Research Abstract |
本研究は、pn制御技術を、有機共蒸着膜に直接適用し、セルをドーピングのみで造り込み、高効率を目指す。H25年度、ケルビン法によるバンドマッピング法により、セルの内蔵電界を精確に描画し、ドーピング濃度によってセル設計する方法を完成した。ドーパントとしては、ドナーとして炭酸セシウム、アクセプターとして酸化モリブデン、酸化バナジウム、塩化鉄、有機ドーパント(TCNQ誘導体)を用いた。金属/有機半導体ショットキー接合、有機/有機ホモ接合の描画を行い、ドーピング濃度をバンドの曲がりから決定する方法も確立した。有機半導体におけるドーパントのイオン化効率は約10%で、シリコン等の無機半導体の100%に比べて低いことが分った。 また、共蒸着中に、蒸着における溶媒の役割をして相分離を引き起こす第3分子を導入して、共蒸着膜のキャリア移動度を増大させる方法と、ドーピングによるキャリア濃度を増大させる方法を結合したセル作製を行った。その結果、内蔵電荷形成はpn接合で、光電変換層は10 ppm程度の極微量アクセプタードーピングで抵抗低減した厚膜層を用い、それを内蔵電界形成のためのpn接合層でサンドイッチしたセル構造が最適であることを明らかにした。これは、ドーピングによる有機薄膜太陽電池の設計原理を初めて提出したものである。今年度は、この方法を、フラーレンとフタロシアニン、ペリレン/ルブレン誘導体、新規有機半導体を組み合わせた共蒸着膜に応用し、変換効率3.8%を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
共蒸着膜の内蔵電界描画、設計技術を完成させたことは、研究計画をほぼ達成している。また、バンドマッピングからキャリア濃度、イオン化率を求めることができたことは、有機半導体ドーピングの機構に関する基礎研究としても意味が大きい。また、有機セルのドーピングによる基本設計原理を提出したことは、今後のセル作製の基盤となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度の成果に基づき、フラーレンと種々の有機半導体を組み合わせたセルに展開し、10%以上の効率向上を目指す。特に、曲線因子の向上が課題として浮上しており、曲線因子を決定する、セル抵抗、バルク、表面再結合速度との関係を明確にする。また、抵抗を低く保ったまま、300 nm程度までのセル厚膜化を達成することによって、すべての太陽光を吸収利用し、光電流の理論的な値にできるだけ近づける。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人件費に支出予定であったが、今回の研究テーマに合致する人材を確保できなかったため。 H25年度と同じ研究員人数を維持し、この課題遂行のため、研究員雇用のための人件費にあてる予定。
|
Research Products
(7 results)