2014 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェンエレクトロニクス実現を加速するSi基板上エピグラフェンの革新的高品質化
Project/Area Number |
25286053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末光 眞希 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (00134057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吹留 博一 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10342841)
焦 賽 東北大学, 電気通信研究所, 教育研究支援者 (80710475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 3C-SiC / ヘテロエピタキシ / グラフェン / 表面化学反応 / 積層欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は申請者らが開発した、Si基板上に成長させた立方晶SiC薄膜(3C-SiC)にエピタキシャルグラフェンを形成するグラフェン・オン・シリコン(GOS)技術の一層の向上をめざし、(I)3C-SiC薄膜の革新的品質向上を通してグラフェンのグレインサイズの増大及び3C-SiC薄膜の高抵抗化を同時に図り、(II)GOSを用いた電界ドープ・グラフェンデバイスを実証するものである。 3C-SiC薄膜の革新的品質向上を目指し、平成26年度は3C-SiC/Si界面から発生する積層欠陥(SF)解消に注力した。 3C-SiC/Si(111)界面のステップ端から発生するショックレー型部分転位(SDL)を抑制するため、アセチレン分圧(PC2H2)と昇温速度の調整をおこないつつ炭化条件の最適化を図った。P_C2H2を2Pa以上としつつ65K/min以上の昇温速度にて炭化処理を施すことにより1nm以下の中心線平均粗さを有する3C-SiC/Si界面(111)が形成できることを見出した。 これと平行し、C-core部分転位の活性化エネルギー(分子動力学より算出)を反映したSF面内分布のシミュレーションにより、3C-SiC(111)面において100μm以上の厚膜SiC成長を行えば、10/cm以下のSF密度面を得ることができることを明らかにした。この厚膜SiC成長を実現するため、SiC成長速度の律速要因(表面の滞留層によるprecursor拡散の妨害)を解消すべく、基板の高速回転機構を作製し、目標値である回転速度(1000rpm)を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3C-SiC薄膜の革新的品質向上を目指し、平成26年度は3C-SiC/Si界面から発生するSF解消に注力した。当初は固相炭化によるSF解消を予定していたが、C源の均一塗布や膜剥がれなどの問題が発生したため、あらためて気相炭化に切り替えて界面平坦化を検討した結果、目標値である1nm以下の中心線平均粗さが達成できた。 一方、SiCへの不連続領域形成によるマイクロチャネルエピタキシーと横方向成長(ELO)の検討も行ったが、エピ成長に至るまでの昇温過程において、SiC不連続領域にエッチピットが発生し、これが結晶の異常成長をもたらすことが判明し、この適用を断念した。 この結果を受けて、炭化表面上への3C-SiCの2次元核形成を応用した “spontaneous channel epitaxy”(SCE)を採用することとし、マイクロチャネルエピタキシーと同様のSF低減効果を狙うことにした。 SF分布のシミュレーションにより、3C-SiC(111)面において100μm以上の厚膜SiC成長を行えば、10/cm以下のSF密度が達成できることが明らかとなった。この厚膜SiC成長を実現するため、SiC成長速度の律速要因(表面の滞留層によるprecursor拡散の妨害)を解消すべく回転機構(1000rpm)を作製し、高速エピタキシャル成長実験の準備を整えた。 以上から平成26年度はおおむね順調な進展であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
① 格子不整合に由来するSF解消――SFの無い半整合界面を形成するため、3C-SiC/Si(111)界面を平坦化し、転位を不動化する。(111)界面の平坦性を保ちつつ3C-SiCをエピタキシャル成長することでSFを解消する。次いで、低温水素処理により中心線平均粗さを0.2nm以下まで低減してステップ間隔と配向方位の統一を図る。 ② マイクロチャネルエピによるSFの解消――SDLを不動化するため、エピ成長中にprecursorの過飽和度を一時的に増加させ、homogeneous nucleationによる3C-SiCの2次元核を形成し、これを横方向成長させる“spontaneous channel epitaxy”(SCE)を実現し、可動転位を終端する。 ③ 固溶強化機構の発現――基板面内温度差や自重による曲げ応力による転位の非保存運動を抑制するため、SiC結晶に格子間原子(酸素)を意図的に導入し、臨界変形応力を高める(固溶強化)。酸素原子はSiC成長中にin-situで添加するが、その原料としては炭化実験で実績のあるCO2を用いる。CO2と同時供給する炭化水素(C2H2)との分圧比により酸素取り込み量を制御する。 ④ 超高速エピ成長――バルク3C-SiC基板を成長するため、低温(1600℃以下)で高速(1mm/hour以上)のエピ成長を実現する。本研究では、SiとCの原料ガスを時分割して基板表面に供給することによりprecursor同士の干渉を妨げる。具体的には、ガス導入ノズルを隔てておき、基板を高速回転させることにより原料の瞬間的な切り替えを実現する。 ⑤ 基板高抵抗化――基板のさらなる高抵抗化を図るため、GOSICOI(Graphene on SiC on Insulator)構造を形成する。はじめに、SmartCut法により高品質SiC薄膜を酸化膜付きSi基板に転写する。次いで、SCEを含めたSiCのエピタキシャル成長をおこないSDLを終端する。
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Causes of Carryover |
本研究で構築する新結晶成長装置において、構成部品の一部について既存部品の流用が可能であることが判明したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に発想されたGOSICOI法(Graphene on SiC on Insulator)構造の妥当性検証費用に充当する。
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Research Products
(34 results)
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[Journal Article] Microscopically-Tuned Band Structure of Epitaxial Graphene through Interface and Stacking Variations Using Si Substrate Microfabrication2014
Author(s)
Hirokazu Fukidome, Takayuki Ide, Yusuke Kawai, Toshihiro Shinohara, Naoka Nagamura, Koji Horiba, Masato Kotsugi, Takuo Ohkochi, Toyohiko Kinoshita, Hiroshi Kumighashira, Masaharu Oshima, Maki Suemitsu
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 4
Pages: 5173-1-6
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Observing hot carrier distribution in an n-type epitaxial graphene on a SiC substrate2014
Author(s)
T.Someya, F. Fukidome, Y. Ishida, R. Yoshida, T. Iimori, R. Yukawa, K. Akikubo, Sh. Yamamoto, S. Yamamoto, T. Yamamoto, T. Kanai, K. Funakubo, M. Suemitsu, J. Itatani, F. Komori, S. Shin, I. Matsuda
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Journal Title
Applied Physics Letters
Volume: 104
Pages: 161103-1-4
DOI
Peer Reviewed
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