2014 Fiscal Year Annual Research Report
アト秒パルスによるヘリウム原子のイオン化に関する理論研究
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25286064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 顕一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70344025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 健 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30507091)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アト秒科学 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
光やX線による原子のイオン化や量子状態間の遷移は、これまで一瞬のできごととしてとらえられてきたが、高次高調波アト秒レーザーの出現で、電子が出てくるまでの過程を追跡したり、フェムト秒極紫外自由電子レーザーの出現で、電子がイオン化するのにたどる経路について調べたりすることが可能になってきた。量子力学の基礎方程式にもとづいた第一原理計算によって、これらの過程を明らかにすることが、本研究の目的である。 本研究では、レーザー場中のヘリウム原子に対する時間依存シュレーディンガー方程式を、空間グリッド上で数値的に厳密に解く。平成26年度は、極紫外光と近赤外光の2色2光子イオン化の共鳴経路(逐次的過程)と非共鳴経路(直接過程)の競合を調べた。 ヘリウムの2色2光子イオン化で放出される光電子の角度分布は、極紫外光と近赤外光の遅延時間にほとんど依存しないことが分かった。一方、時間に依存する摂動論によると依存するはずで、NeやArに対する有効1電子近似でのシミュレーションでも依存するという結果が得られた。遅延時間に対する依存性があるのが一般的で、ヘリウムと本研究で用いた波長の組み合わせは例外的な条件であることが分かった。これは、Leoneらによる実験結果とも整合している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1光子イオン化に加え、2光子イオン化についても研究でき、また実験グループとの共同研究でも成果が出たため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘリウム原子のイオン化のシミュレーションを引き続き進め、成果をまとめる。
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Causes of Carryover |
次年度の関連分野の国際学会から招待講演の依頼があったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会における成果発表(招待講演)のための旅費
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Research Products
(8 results)