2013 Fiscal Year Annual Research Report
高次非線形ラマン散乱顕微鏡による結晶化モニタリング
Project/Area Number |
25286070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 守 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (70237949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 修一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40362644)
新岡 宏彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (70552074)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非線形光学 / ラマン分光 / 光学顕微鏡 / 結晶化 / 対称性 |
Research Abstract |
これまで開発してきた,マルチプレックス4次ラマン散乱顕微鏡の光学配置を見直し,より調整がしやすく,ルーチン的に実験を行うことができるシステムとした.これまで,スーパーコンティニューム光を発生させるために,NA=0.6 x40 の対物レンズを用いてフォトニック結晶ファイバーに入射していたが,振動によってその強度揺らぎが大きく生じることが分かった.そこで,NA=0.4 x20の対物レンズを使用することにした.これにより,実験をより長時間行え,またフラットなスペクトルを得る事ができるようになった.また,発生したCARS光や4次ラマン散乱光を,反射配置,透過配置いずれも簡単に観測が行えるように改造した. 3次の非線形ラマンであるCARSは,対称心を持つ物質に対しても光学的に許容であるが,4 次ラマンは対称心を持つような物質に対しては禁制となる.このため,CARSと4次ラマンを比較することで,試料内で部分的に対称性が異なる箇所が存在すると,4次ラマン散乱強度が変化し,結晶の対称性によるマッピングを行うことができると考えられる.DAST 結晶はは,単斜晶系の結晶構造を有する赤い結晶であるが,水を含有する場合中心対称性を持つ構造を持つオレンジ色の結晶となることが知られており,結晶生成中に水を加え,単斜晶系の結晶と中心対称性を持つ結晶が混じった試料の作成を行い,そのCARSと4次ラマンの取得を行った.水和結晶の4次ラマンの強度が非水和結晶に比べて著しく小さいことが確認できたが,CARS光も水和結晶で数分の1以下であった.水和DAST結晶の通常のラマン散乱を観測すると,偏光によってその強度が大きく影響を受けることが分かった.これらにより,今後,偏光を制御してCARS, 4次ラマンを観測する必要があることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
構成分子は同じでありながら,対称心を持たない結晶と,対称心を持つ結晶の2種類の試料を用意し,これらのCARS と4次ラマンを取得して,4次ラマンイメージングの優位性を証明する事を目的とした研究を行ってきた.当初,3次の非線形光学効果であるCARSでは同様な信号が得られるものの,4次ラマンでは対称性による影響で,大きくその信号が変化することを予想していたが,CARSでもその信号に大きな違いがみられた.自発ラマン散乱を観測した所,偏光によりその信号が大きく変化したことから,水和結晶でのCARS信号の低下は偏光が最適化されていなかったことが原因と考えられる.偏光の向きを自在に変化できるように,光学系を改良した.今後,試料(結晶)の形を観測し,これから結晶の方位を算出,偏光を調節することで偏光の依存性について検討することで,解決がなされるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
4 次ラマン信号は非常に微弱であるため,まずはWanapunらに倣って第2 高調波発生顕微鏡を用いて結晶化プロセスの観測を行う.試料には,DAST を用いて,これらの微結晶の形成プロセスの観測を行う.このために,顕微鏡下で結晶化を起こすことができる微薄チャンバを開発する.液体循環による0.1 度以内の温度管理ができるものとする.さらに,流れを形成することによって,結晶成長速度が促進されることが知られているため,飽和溶液の還流も可能なものとする.その後,DAST 結晶をはじめ,様々な有機分子結晶,タンパク質結晶の作成が可能か検証し,SHG, CARS, 4 次ラマンスペクトルの観測を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CCDを購入予定であったが,現有する他の研究で使用していたCCDを本研究で使用可能となったため,購入を見送った.また,スーパーコンティニューム発生に関しても,集光する対物レンズのNAを調整することにより,安定して発生することが可能となったため様子を見ることとした. 本年度,まずSHGによって結晶化の評価を行う.この信号検出を高速におこなうために高速AD変換ボードを購入する.また,試料セルを作成するが,この工作費用,制御用装置等の購入に使用する.また試料セルの使用によって試料の厚みが大きくなることから,長作動高NA対物レンズを購入する.
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Research Products
(3 results)