2013 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛微小球ウィスパリングギャラリーモード紫外レーザーの作製と応用
Project/Area Number |
25286071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 龍雄 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (90127994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 大輔 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (40444864)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ZnO / 微小球 / ホトルミネッセンス / ウィスパリングギャラリーモード / 微小共振器 / レーザーアブレーション |
Research Abstract |
25年度は,さまざまな直径を持つZnO微小球を作製するため,作製条件の探索を行った.具体的には,ZnOセラミックスターゲットにパルスレーザー光を集光照射し,発生した溶融ドロプレットを適当な基板上に捕集してZnO微小球を作製した.その際,アブレーションレーザーの波長でZnO 微小球の直径の再現性が大きく変化することが予想される.つまり,微小球の直径は,ZnO の吸収長と密接に関係していると考えられる.そこで,波長249 nmのKrFエキシマーレーザー,波長532 nmのNd:YAGレーザーの第二高調波,波長1064 nm のNd:YAGレーザーを用いて作製を行ったところ,波長1064 nmのQスイッチNd:YAGレーザーの場合に直径数μmのZnO 微小球を作製できることを見出した.さらに,QスイッチNd:YAGレーザーのQスイッチを外したフリーランのレーザーを用いると直径数10 μmの大きなZnO微小球を作製できることを見出した。 作製したZnO微小球について,XRD, マイクロラマンなどにより結晶性を評価したところ,ZnOは結晶化していることを確認した.また,He-Cdレーザー励起による蛍光を調べたところ,ZnOバンド間遷移に相当する波長390 nm近傍の紫外発光と,500 nm付近にピークを持つ欠陥に起因する発光が見られた.しかし,紫外の発光が相対的に強く,比較的良質の結晶であることが推測された.また,結晶によっては,蛍光スペクトルにWhispering Gallery Mode共振による構造が確認され,光閉じ込め特性の良い結晶となっていることも確認された. さらに,作製したZnO 微小球をNd:YAG レーザー第3 高調波 (波長355 nm) で励起して,顕微レーザー分光装置を用いて単一微小球内のウィスパリングギャラリモード (WGM) レーザー発振特性を調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度当初計画していた,事項は次の通りである. (1)アブレーションレーザーの波長を変えてZnO 微小球を作製する, (2)アブレーション用のターゲットに厚さが1-10μm 程度のZnO 薄膜を用い,薄膜を背面よりアブレーションすることで発生する微小球の大きさを均質化する可能について検討する, (3)他の半導体材料についても,同様の手法を用いて微小球の作製を試みる, (4)作製した各種微小球は,XRD, マイクロラマン,ホトルミネッセンスなどにより結晶性,光特性などを評価する, (5)ZnO 微小球のウィスパリングギャラリモード (WGM) レーザー発振特性を明らかにする. このうち,(1), (4), (5) については,当初予定通り実施され,特に長波長,長パルスのレーザー照射により,直径が数十μmのZnO球を効率よく作る条件を確立でき,今後の実験を進める上での基礎を確立できた.(2),(3)についても,GaN薄膜を用いた実験を開始しており,ほぼ順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に直径が数十μmのZnO球を効率よく作る条件を確立できたので,このZnO球を用いてn型ZnO微小球とp型GaN薄膜とのヘテロ接合を利用した電気励起による発光実験を行い,センサー応用の基礎となるウィスパリングギャラリーモードによる光閉じ込め効果の確認を行う. また,当初の予定通り,薄膜をターゲットに用い,薄膜を背面よりアブレーションすることで発生する微小球の大きさを均質化する試みを,GaN薄膜を用いて行う.また,ZnO ターゲットに燐やアンチモンを添加して,アクセプタ元素を添加したZnO微小球を作製し,更なる紫外発光効率の改善を計り,WGM レーザー発振のしきい値のさらなる低下を目指す。さらに,微小球をセンサーとして応用するために,微小球自体の雰囲気を水とアルコールの混合溶媒にすることにより微小球周囲の屈折率を変化させて,レーザー発振特性の変化を詳細に計測し,センサーへ応用するための基礎データを集積する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既存のエキシマレーザーを用いたZnO微小球を作製する予定であったが、内蔵ポンプ故障により使用することが出来なくなった。そこで、購入予定していた上記レーザー用ガス費用を支出することが出来ず、次年度に繰り越すこととなった。 本年の研究成果より微小球作製に最適なアブレーションレーザーをNd:YAGレーザー1064nmとしたため,繰り越し金については,次年度研究計画に挙げており,大量消費が予想されるGaN基板を購入する.
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Research Products
(3 results)