2013 Fiscal Year Annual Research Report
光干渉計技術の応用による太陽系外惑星探査用高コントラスト光学系の研究
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25286073
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小谷 隆行 国立天文台, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 研究員 (40554291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田 豊 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (00434803)
栗田 光樹夫 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20419427)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 瞳再配置 / 分割鏡 / 系外惑星 / 光干渉計 |
Research Abstract |
本年度は、系外惑星直接撮像のための高精度分割鏡の詳細設計、製作手法検討を行った。また分割鏡1素子の研削・研磨実験を行い、製作には大きな問題がないことを確認した。 まず最初に、瞳再配置を行う分割鏡設計について詳細な検討を行い、通常のカセグレンタイプの望遠鏡と似た配置を取ることで、コンパクトな光学系を実現できることがわかった。望遠鏡の副鏡に相当する部分に、入射した並行光を分割し、光を様々な方向に飛ばすための分割鏡を配置し(M1)、次に主鏡相当部分に、M1から来た光の角度を平行にして戻す第2の分割鏡(M2)を置くことで瞳再配置を実現する。また全ての光路長さが一致するように、分割鏡の長さを調整する。 分割鏡は、ガラス製6角柱(長さ20mm程度、6角形対辺長さ2~4mm)の端面を鏡面研磨することで各素子を製作し、これらをガラス基板上に配置することで、実現する。平成25年度は、市販のガラス6角柱(エドモントオプティクス)端面の平面研削・研磨加工テストを行い、面粗さ、ふちダレについては十分な精度が達成できることを示した。面精度については、球面成分が少し残るものの、研磨の条件出しに時間をかければ取り除くことができる見込みである。 また、6角柱を精度良くガラス基板上に設置・接着する手法についても検討を行った。6角柱は、精密加工された金属製のジグを用いることで所定の位置・角度で基板上に配置される。接着の際に、接着剤が硬化するまでの間、6角柱が基板に垂直に自立していることが重要であるが、ガラス基板の貫通穴直上に6角柱を配置し、穴から空気を抜くことで、大気圧により基板上に押しつける手法を考案した。実際に金属製のジグを用いた簡易な実験系を構築して、問題なく6角柱が自立することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、1. 分割鏡の1素子製作、2. 素子数7個程度の分割鏡の製作、試験を行うことを目標としていた。このうち1については、実際にガラス6角柱端面の研磨を行い、仕様を満たすものが製作できる目途を付けた。2については、6角柱製作・基板上配置方法の検討の結果、実現性の高い手法を見出すことができたが、分割鏡の設計や許容誤差解析、研磨方法のテストなどに時間を要したため、6素子製作・試験を行うには至っていない。しかしながら、製作に原理的な問題はほぼないと考えられるため、平成26年度は問題なく製作を進めることが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでの1素子平面鏡製作の結果を踏まえて、次のように研究を進める。製作する分割鏡は、基板に対する角度が最大10度程度と大きな傾きを持つ。今年度はまず、このような斜め平面研磨の製作テストを行う。事前検討により、加工機には斜め研磨を行うことに問題はないことがわかっている。また研磨中に鏡の角度を正確に測定する手法を既に確立済みである。次に、小規模な6素子分割鏡を製作し、分割鏡として仕様を満たしているかを調べる。6素子分割鏡は、その後より多素子の分割鏡に拡張可能な設計にしておく。分割鏡の製作は、精密機械加工に詳しい研究分担者の宇田氏、栗田氏の協力を得て進める。また、分割鏡製作業者も含めた打ち合わせを密に行い、直接会って議論する機会を増やし、問題点の把握・解決を迅速に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、当初6素子分割鏡の製作を行う予定であったが、分割鏡の設計・実現性の検討に時間を要したため、予定とは異なり、1素子製作実証と、6角柱を基板上に配置するための実験のみ行い、6角柱製作はできなかった。 次年度使用分については、平成26年度に6素子の製作と試験を行うために使用する。
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